3.たばこを吸っている人(本人)がかかりやすい病気について
- [2021年8月10日]
- ID:15327
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たばこを吸っている人(本人)がかかりやすい病気について
因果関係を推定する証拠が十分である(確実):レベル1
・がん :鼻腔・副鼻腔がん、口腔・咽頭がん、喉頭がん、食道がん、肺がん、肝臓がん、
胃がん、すい臓がん、膀胱がん、子宮頸がん
・妊娠・出産 :早産、低出生体重・胎児発育遅延
・その他の疾患:脳卒中、ニコチン依存症、歯周病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)(※1)、
呼吸機能低下、結核(死亡)、虚血性心疾患(※2)、腹部大動脈瘤、
末梢性の動脈硬化、2型糖尿病(※3)の発症
証拠は因果関係を示唆している(可能性あり):レベル2
・がん :急性骨髄性白血病、乳がん、腎盂尿管・腎細胞がん、大腸がん、子宮体がん、
前立腺がん
・妊娠・出産 :生殖能力低下、子癇前症・妊娠高血圧症候群(※4)、
子宮外妊娠・常位胎盤早期剥離・前置胎盤
・その他の疾患:認知症、虫歯、口腔インプラント失敗、歯の喪失、気管支喘息、胸部大動脈瘤、
結核(発症・再発)、特発性肺線維症(※5)、 閉経後の骨密度低下、
大腿骨近位部骨折、関節リウマチ、日常生活動作の低下
※1 慢性閉塞性肺疾患(COPD)…気管支が炎症を起こしたり肺胞が破壊されて肺機能が低下し、悪化するとせき・たん・息切れが強くなり生活に支障をきたします。せきや呼吸困難などの症状は気管支喘息と似ていますが、進行性であるという点で異なります。長期間の喫煙習慣が主な原因で、患者の9割に喫煙歴があることから、別名「タバコ病」とも呼ばれます。
※2 虚血性心疾患…冠動脈(=心筋に血液をおくる動脈)が狭まったり(狭窄)、閉じてしまったり(閉塞)して、心臓の筋肉である心筋への血液の流れが悪くなり、必要な血液の量を下回った状態を言います。
※3 2型糖尿病…不摂生な食生活や食べ過ぎなどの生活習慣が原因となる高血糖症、インスリン抵抗性、相対的インスリン不足が特徴の長期的代謝異常のこと。なお、生活習慣病の一種ともとれる2型糖尿病に対して、1型糖尿病は生活習慣とは無関係とされます。
※4 子癇前症・妊娠高血圧症候群…妊娠中に高血圧やタンパク尿を特徴とする疾患。 通常、妊娠後期に発症し時間が経つにつれ悪化します。 重症になると赤血球の破壊、血小板減少症、肝機能障害、腎機能障害、浮腫、肺水腫による息切れ、視覚障害などの症状があります。
※5 特発性肺線維症…肺の間質(肺胞の壁)におこる炎症は間質性肺炎とよばれ、感染症による肺炎(主に細菌などが原因となっておこる肺炎)とは区別されています。間質性肺炎のなかでも原因がはっきりと特定できないものを特発性間質性肺炎といい、しばしば肺の線維化(肺線維症)をともないます。間質に線維化がおこると、肺が十分にふくらまなくなり、ガス交換がうまくできずに、酸素が不足し息苦しくなります。