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あしあと

    市民みらいミーティング開催結果(まちづくり協議会の可能性~移り変わる地域と持続可能なまちづくり~)

    • [2022年1月17日]
    • ID:17227

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    日時

    令和3年11月20日(土)午後1時30分~3時30分

    場所

    社会福祉センター

    参加者

    市内の区・自治会長(28名)

    内容

    限られた財源の中で、複雑多様化する市民ニーズに今後も的確に対応し続けていくためには、市民の皆さんに身近なまちの課題を「自分ごと」として捉えてもらい、市民と行政が意見交換を行いながら、参画と協働のまちづくりを進めることが不可欠です。
    現在、市と区・自治会では、地域の課題を共に考え、解決に向けて取り組む仕組みとして、地域ごとにいくつかの区・自治会をまとめた「まちづくり協議会」の可能性を探っています。今回は、それぞれの地域が抱える課題について話し合うとともに、まちづくり協議会の可能性について考えました。

    意見交換1
    意見交換2

    市長あいさつ

    皆さんこんにちは。自治会の皆様には、市政の推進に格別のご理解とご協力を賜っておりますことに、改めて御礼申し上げます。特にここ2年ほどは新型コロナウイルス感染症の影響で、地域での活動にも大変ご苦労をいただいていると思います。地域には、コロナ禍でもやらなければならない会合や清掃など、さまざまな仕事があると思います。一方で、必要性を改めて考え直した行事もあるかもしれません。そういった皆さんの創意工夫によって、地域の安全・安心、住民の皆さんのつながりが保たれていることに、感謝を申し上げたいと思います。
    さて、本日の勉強会のテーマは「まちづくり協議会」ということで、現在、市と区・自治会とが、地域の未来について一緒に考え、進めていきたいと考えているところです。本日お集まりの皆様方にぜひ理解を深めていただき、地域でも話題にしていただけたらありがたいと思っています。
    現在、まちづくり協議会の取り組みを、試行錯誤しながら先行して進めていただいているのが三山木地域や大住地域です。この取り組みは、最終的には地域の皆さんが知恵を出し合って、自分たちのまちを自分たちで良くしていくことを目指すものです。地域によって状況はさまざまだと思いますが、例えば役員の担い手の問題や、自治会の加入率の問題に対する解決策の一つとなり得るのではないかとも考えております。
    皆さんのご意見を尊重しながら、一歩ずつ前に進めていきたいと思っておりますので、今後ともご協力のほどよろしくお願い申し上げます。

    講演「まちづくり協議会の可能性-移り変わる地域と持続可能なまちづくり-」

    講師=一般財団法人明石コミュニティ創造協会 宮内龍太郎さん
    こんにちは。兵庫県の神崎郡福崎町出身で、今年で33歳になります。
    明石コミュニティ創造協会は明石市の外郭団体で、区・自治会やまちづくり協議会の皆さんの活動を支援しています。今日はその事例をもとに、今後に繋がるお話ができればと思っています。

    明石コミュニティ創造協会の活動

    1975年から活動していて、今年で45周年になります。まちづくり協議会や自治会等を支援する一方で、明石の駅前にある「ウィズあかし」という公共施設で、男女共同参画センターや生涯学習センター、市民活動支援センターなどの運営をしながら、市民の皆さんの活動を応援しています。一昨年、明石市で開かれたB-1グランプリというB級グルメの大会でも、3000人ぐらいのボランティアの方と一緒に活動しました。他にもいろんな市民の方のまちづくりへの参加に関わっています。

    明石市はこんなまち

    明石は結構小さいまちで、端から端まで車で50分ぐらいです。自治会の数は479団体で、減少傾向にあります。一自治会あたりの世帯数は、5世帯ぐらいの自治会から大きいところでは2000世帯と、かなり幅があります。昨年までは自治会加入率が71%だったんですが、コロナを機に新規加入が難しくなってきて、現在69.1%まで落ち込んでいる状況です。
    また、明石はもともと漁業と農業の町で、海側ではタコやタイが捕れ、山手はイチゴやキャベツなどの農業地帯が広がっていたんですが、徐々に工業地帯が増えたり、昭和30年代には団地開発が進んで住宅地が一気に増えたりしました。今は築50~60年を迎える団地がかなり建っています。あと、真ん中が人口増地域で、もともと農業地帯だったところが後継者不足で宅地に変わってきています。明石で人口が増えているのは、ほとんどがこの真ん中の地域です。

    アイスブレイク

    さて、ここからは、まちづくり協議会はどんなことをしているのかとか、協議会を立ち上げるまでの過程、苦労や課題などをお話しします。
    初めに、お互いの地域を知り合うためにアンケートをします。
    まず、今の気持ちをお聞きします。お手元に札があると思いますが、「今日の研修めっちゃ楽しみ」と思っておられる方は赤色の札を、「どんな研修かちょっと興味あるな」という方は黄色を、「よくわからんけど市から呼ばれたから参加した」という方は青色を、「お昼ごはんを食べたばかりで眠い」という方は緑色を、その他の方はピンクの札を上げていただきたいと思います。
    はい、お願いします。黄色の方と青の方がほとんどですね。

    では次に、各地域の転入状況をお伺いします。ほぼ昔からの住人だけというところは赤色、最近転入者が増えているというところは黄色、以前は転入があったけど最近は減って落ち着いてきたというところは青色、住んでいるのはほとんど転入者ばかりというところは緑色、その他はピンク色でお願いします。
    お願いします。黄色と緑が多いですね。一番多いのが黄色、最近転入者が増えているところが多い状況です。その他はなかったので、おおよそこの4分類ですね。
    次は、近隣の区・自治会との関係がどんなものかを聞いてみたいと思います。何か合同で取り組む広域の行事があるというところは赤色、定期的に連絡や情報交換するような会があるというところは黄色、決まった会はないけど必要に応じてちょっと情報交換することはあるというところは青色、関わりはほとんどないというところは緑色、その他の場合はピンク色を上げていただきたいと思います。
    ではお願いします。赤も黄色も結構多いですね。赤と黄色を両方上げてくださってる方もいらっしゃいます。ちなみに赤と黄色の方はどんな状況ですか?
    (参加者)
    大住地域の区長・自治会長会ということで、13の自治会が集まって定期的な会合を持っています。これはずっと昔からです。それからスポーツ大会や文化祭といったお祭り関係も、集まってやっています。
    (講師)
    合同で行事をされているところもあるという状況ですね。ありがとうございます。
    では、最後の質問です。自治会の活動状況について、問題なく運営できているところは赤色、課題はあるけど工夫しながら何とか運営できているというところは黄色、今は特に問題ないけれど将来は気になることがあるというところは青色、具体的にすでにかなり困っているというところは緑色、その他はピンクでお願いします。
    ではお願いします。黄色と緑が多いですね。ちょっと緑の人に聞いてみたいと思います。
    (参加者)
    若い方になかなか役員になってもらえないので、改選の時にすごく困っています。
    (講師)
    担い手をどうしようということですね。もうひと方、緑の方に聞いてみたいと思います。
    (参加者)
    同じように、将来的に担い手がどうなるかというところです。働き盛りの方が多いので、役員のなり手が難しい。あと、子どもの見守り活動を担っていただける方がいない。みんな高齢で、そこは喫緊の課題で悩んでいます。
    (講師)
    若い方の自治会への関心とか、実際の担い手、特に子どもの見守りをどうしようというお話をいただきました。実は明石も近い状況で、2月ぐらいになると、役員改選どうしようという話が毎日のようにあります。

    京田辺市の状況

    先ほど皆さんから地域の状況をお伺いしましたが、データでも見ていきます。京田辺市の人口推計の資料を見ると、昭和40年代ごろから一気に開発が進み、今はピークを迎えようとしていて、人口が4倍強になっています。そして令和5年~10年ごろに同志社山手や山手西の開発が完了し、2030年(令和12年)ぐらいに人口減少に転じるというのが見て取れます。
    さらに詳しく見てみます。令和12年の人口ピラミッドを見ると、全国的には今後一気に50代・60代が減っていきますが、京田辺市の場合は人口が増えていますので、地域活動で中心的な役割をされる壮年層や前期高齢者が当面むしろ増えるんですね。その先、今60歳ぐらいの人が80歳ぐらいになると、開発が終了するのと、日本全体で見ても人口が減少に転じていくのとで、その下の生産年齢人口が減っていきます。今がちょうど変わり目なのかなという状況です。
    それともう一つ、北部・中部・南部という地域別で見たときの老年人口の割合ですが、2045年に北部は41.4%、南部は24.2%ということで、かなり地域差が大きいです。昨年の全国の平均高齢化率が28.8%なんですが、北部は28.9%で、すでに全国平均を上回っています。今後、北部→中部→南部の順に、人口減少や高齢化に直面するのかなと思います。逆に言うと北部の皆さんは、今後の中部・南部にとってモデルというか、先進的な地域になっていくかと思います。先ほどの質問でも、そういった状況が表れているなと感じました。
    以前、市で実施された自治会の活動に関するアンケートを拝見すると、自治会を運営する上での課題として、なり手不足、高齢化、特定の人しか運営に参加しない、という話が上がっていました。背景としては、人口減少だけじゃなくて働く世代の状況もあるでしょう。私も週休が月曜日なので、自治会の一斉清掃も休みをやりくりしないと参加できないんですが、働き方とかひとり親とか、暮らしの状況が変わっていく中で、参加しようにも参加できない方が増えてきた。あとはそもそも関心が薄い方です。明石でも「私たちは消費者として地域を選んでいる」という方もいらっしゃいます。
    また、空き家や不法投棄の問題、買い物が困難な高齢者が増えていると書いておられるところもありました。また、交通量が増えているのに子どもの見守りが難しいというお話もありました。
    このように、地域が扱う課題が複雑化・多様化している一方で担い手は減少していて、参加してくれる人を巻き込んでいくのが難しいという状況が、恐らく全国的に起こっています。従来どおりの仕組み・進め方では持続が難しくなっていて、どうすればいいのかという状況です。広く、深くなる地域課題にどう取り組んでいくか、どう裾野を広げていくかということが重要になってくると思います。
    まちづくり協議会がその解決に直接的につながるかどうかは模索中ですが、そこに向かってアプローチしていける仕組みがまちづくり協議会ではないか、ということを明石の皆さんと話しながら、約10年進めているところです。

    まちづくり協議会とは何か

    まず、自治会とまちづくり協議会がどう違うかですが、まちづくり協議会の活動区域は、概ね全国的に小学校区域になっています。まちづくりや地域に関わる活動単位で、一番小さいのが隣保(班・組)、一番大きいのが市とすると、例えば高齢者の見守りや災害時の助け合いは隣保単位じゃないとできないし、一斉清掃とか高齢者の居場所だと自治会ぐらいの大きさがいいし、避難所の開設や、子ども食堂のように小さい範囲じゃ行きにくいようなものをやるには小学校区ぐらいがいいのかなと思います。また、生涯学習とか公民館の活動だったら中学校区ぐらい、制度づくりや財政的な支援が必要なものは市単位、というように、それぞれの単位でできる範囲、やるべき範囲が違ってきます。そういう整理の中で、まちづくり協議会は「概ね」小学校区域で、幾つかの自治会エリアを広域的にカバーする組織として活動しているところがほとんどです。「概ね」というのは地域差があるからで、明石市ではほぼ小学校区ですが、中山間地域では小学校は廃校になっているけれども元小学校区の単位で活動しているなど、自治体によってかなり違いがあります。京田辺市でも、今後どれぐらいの範囲で組織を作っていくのかが大きなテーマになると思います。
    もう一つ、自治会とまちづくり協議会の組織の違いを整理します。自治会とは、暮らしの場や生活をお互い支え合っていくための仕組みです。そのためにごみステーションの管理や一斉清掃など、基本的には世帯代表制で、1世帯に1人が活動に参加する組織です。京田辺市では女性の自治会長さんもいらっしゃいますが、田舎に行くと男性がほとんどという地域もあります。もともと集落や地域を支えていくために物事を決めるための組織なので、組織の特性上、多様な参画を促すことが難しいのが自治会です。
    一方のまちづくり協議会は、自治会のそういう部分を補うために、どちらかというと多様な参画を促す受け皿とするケースがほとんどです。基本的には個人を単位としていて、女性でも若者でも、場合によっては地域外の人でも参画できたり、個人の関心に基づいて、関わりやすい組織にしようというのが前提になっています。こういう形で、自治会では巻き込みづらい住民さんやまちづくりに関心のある人を、受け皿的に巻き込んでいける特性を持っています。全国的には「地域運営組織」とか「小規模多機能自治」と呼ばれていて、去年の段階で全国に5783組織あります。

    まちづくり協議会の活動事例

    (1)清掃・美化活動

    地域の活動はたくさんありますが、一番基幹的なものが一斉清掃や草刈りだと思います。先日、明石市で、コロナで一斉清掃、特に草木の伐採ができなかったので、道路に不審者がいても分からないような状況がありました。防犯という面からも一斉清掃は大切ですが、人が集まりにくかったり高齢者が多くなったりして、高い木を伐採するのが難しいという課題も出てきています。
    そんな中、まちづくり協議会で美化活動に取り組む事例があります。明石市のあるまちづくり協議会なんですが、集落の中心を川が流れています。もとはすごく汚い川だったんですけど、地域の自治会や老人会が定期的に清掃して維持していました。川の清掃は危険なところも多くて、例えば草刈り機を持って入っても、岩にはじかれて脚を切りそうになったおじいちゃんがいたりして、継続に不安があるという課題もありました。そこで、まちづくり協議会では、いろんな方が参加できる組織体制にしようということで、誰でも申し込んだら参加できるという体制をとりました。それでちょうど、会社を退職後に子どもたちに自然教育、ここにこういう生き物がいるよってことを教えているおじさんがいらっしゃったので、自治会長さんたちがその方に、一緒に川の清掃活動をしようと声をかけられたんですね。その結果、現在は「清掃・自然観察会」という活動になっています。1時間ぐらい清掃して、残り1時間は「どんな生き物や植物がいるかな?」という観察会をするという形になりました。それで今は、毎月1回、30~40人が参加されています。もちろん自治会や老人会の方もいるんですが、親子での参加が多くて、転入して間もない方もいらっしゃいます。
    こうやって新たに少し専門性を持った方を巻き込んだことで、楽しさという要素が入り、子どもたちも清掃の新たな担い手になるという活動に転じたのは、まちづくり協議会ならではだと思います。

    (2)買い物・移動支援

    もう一つが、京田辺市でも課題になっている買い物の支援です。明石市でも買い物が困難な高齢者が増えていて、ある校区のまちづくり協議会では「買いもん行こカー」という名前で、スーパーと一緒に、買い物へ行く乗り合いバスみたいなものを運営されています。背景にあったのが、校区でやったアンケートです。高齢者から多かったのが、買い物に関する意見だったんですね。地元の商店が全部廃業して、スーパーや商店が1件もなくなってしまって、車のない高齢者は全く買い物に行けなくなっていたということが分かりました。これは複数の自治会で共通の課題として挙がっていたんですが、自治会単独では買い物の支援はできないので、幾つかの自治会が寄り集まって、まちづくり協議会の活動としてやった方がいいということになりました。
    基本的にはスーパーとまちづくり協議会の共同運営ですが、まず、まちづくり協議会で買い物困難者のアンケートを改めて実施して、実際どの地域でどんな買い物事情があるのかということを把握しました。その結果をスーパー側に提出して、一緒にできないかと提案されました。スーパーとしても、この事業にはかなりお金がかかるそうで、地域と一緒にやりたいという思いはあっても、なかなか本部に事業提案するのが難しいそうなんですが、こういうアンケート結果があったので本部の会議もすんなり通って、2~3ヶ月で実施にこぎつけました。
    現在はまちづくり協議会の事務局が、自治会ごとの利用者数の調整や広報活動を担っています。買い物に行きたい方が少ない週は他の自治会にも声をかけながら進めている状況です。
    このように、1つの自治会でしにくいことを広域で協力し合ってやるというのも、まちづくり協議会形式の特徴だと思います。

    (3)防災体制

    もう1点やはり大きいのは、防災の活動です。京田辺市のアンケートでも、防災体制を心配する意見を結構書いておられたと思います。
    防災こそ「補完性」がポイントで、家庭・自治会・広域の協議会・市の対策本部、それぞれの単位でやらないといけないことが違うし、それがずれてしまうとかなり難しい。まず避難して、助け合って一時避難所に行くのは自治会でできますが、その後の避難所運営は単独の自治会では難しく、市からは避難所の運営に1~2人しか職員を出せないそうなので、まちづくり協議会でやっていこうとされています。そんな中、避難所の開設訓練が行われました。訓練はシナリオがあるので、実際の災害時にこれで本当に助かるのかという話になることが多いですが、この訓練では、本当に避難所に来る想定で避難してください、ということにしました。ですので、犬を連れて来る方もおられました。他にも授乳室をどうするかとか、風邪気味の方がいる場合は別の場所を作った方がいいのかとか、状況をかなり具体的にシミュレーションできたとおっしゃっていました。
    3年ぐらいその訓練をされて、徐々に避難所開設の体制づくりが進んでいるのですが、今、その動きが自治会に戻ってきています。というのは、校区の全自治会の防災担当が集まる自主防災会議で、「うちの自治会は災害時の助け合いに不安がある」という話があったんです。そこはかなりいびつな開発がされて、池を挟んだ反対側に2軒だけ同じ班がある自治会で、災害時にその人たちが助かっているかどうか自治会では分からないという話になりました。そういう課題はあるけれど、輪番制で役員が変わる自治会では継続した議論ができない、と。そこで、まちづくり協議会の防災部会に協力を求めました。現在は、自治会の防災プロジェクトという会議で、会議の進行や市との調整をまちづくり協議会がサポートしながら、議論は自治会の皆さんでされるという形になりました。そうやって、自治会ごとに避難の仕組みを工夫して、連絡網を作ったり、災害時用のLINEグループを作ったりして、それぞれがどこに避難したかを班長に流そうという話になっています。
    このように、まず全体で大きな事例を作って、それを自治会ごとに持ち帰って参考に組み直す、という関係もあるのかなと思います。

    多様な参加を促すまちづくり協議会

    今回大きなテーマとして、どうやって活動の裾野を広げるかという話がありましたが、まちづくり協議会が実際どんな仕組みでどういう体制をとっているかということを次にお話ししたいと思います。まちづくり協議会が、どうやって多様な参加を促す受け皿となっているかというところです。
    先ほど防災の事例でお話しした地域では、地域のどんな人でも関心があれば参加できる組織として「まちづくり応援隊」を公募されています。いわゆる「この指とまれ」で参加できる組織です。また、地域の自治会長さんが隔月ぐらいで集まる「自治会連絡会」では、新任の会長さんなどは「ごみステーションの管理をどうしているか」などの相談をされています。
    誰でも参加できるという仕組みは結構広がりを見せていて、「まちづくりサポーター」と呼んでいるところもあれば、「まち友」という名称のところもあります。この話をすると、関心を持ってくれる人が本当にいるの?と言われるんですけど、その事例を紹介したいと思います。
    「まち友」を募集された地区では、防災や防犯などいろんなテーマでアンケートを実施されました。アンケートの最後に、「こういうことをするためには皆さんの協力が必要です、協力してもらえませんか?」と尋ねたところ、全5,500世帯ぐらいのうち350人ぐらいが連絡先を残してくれたんですね。ちなみにこの地域は非常に古くからある地域で、昔からいらっしゃる方が自治会長をされていました。それで、転入してくる方はまちづくりに関心がないんじゃないかと考えていたんですが、「協力できる」と答えてくれたのは、意外にも30~40代の転入10年未満の方が一番多かったんですね。聞いてみると戸建ての家を購入された方が多くて、地域にちゃんと関わっていかないと自分たちの今後の暮らしに関わる、老後も助け合いできないんじゃないかということで、地域とつながろうと考える方が多かったようです。現在は隔月で交流会をされていて、一緒にどんなことをしたいか話し合っています。「まちの郷土史を調べたい」とか、「いざという時に備えて大人同士が繋がるための学びの場があるといい」とか、英語が話せる方から「海外ルーツの子どもたちをサポートできるよ」とか、いろんな活動が充実できそうだと聞いています。
    もう一つ良かったのは、交流会でグループごとに話し合った時に、たまたま同じテーブルに、同じ自治会の会長と会員がおられたんですね。それで「自治会役員のなり手がいない」「役員ってどんなことをするんですか」というような話をする中で、会員さんが「それぐらいだったら私やります」と、翌年の春から自治会の役員をやってくれることになったそうです。
    自治会長さんが言うには、それまでは自治会活動をやってくれそうな人と地域で出会うきっかけがなかったけれど、広い単位でまちづくりに関心のある人が集まる「まち友」のような会なら声をかけやすいし、向こうも結構すんなり乗ってくれるということでした。自治会という範囲の中で声をかけると逃げちゃう方もいらっしゃるかもしれませんが、関心がある人が集まれる場を作れるのも、広域の協議会ならではだと思います。
    また、先ほど川の活動で紹介した地域は海の目の前なんですが、住民アンケートをしたところ、どうしてこのまちを選んだのかという質問に対する回答が、ほとんど「景観」とかで、地域の活動に関心がある人が非常に少なかったんですね。それでも、子育て世帯の人たちだったら、子どもが参加できる行事なら何かやってくれるんじゃないかということで、試しにいろんな世代を集めてウォークラリーのイベントをされました。その際に「イベントを手伝ってくれるボランティアも同時募集」っていうのを全戸回覧したところ、参加者が80人なんですがボランティアが50人集まったんです。ウォークラリーなのでクイズやレクリエーションをするんですけど、そのクイズを作りたいという子どもたちがたくさん来てくれて、当日はそのお母さんたちが、普段はあまり地域の活動に参加していないけど、子どもが行くからということで来てくれました。
    あとは、子どもたちが来るということで小学校の先生がボランティアで加わってくれたり、老人クラブとか子育てボランティア団体など、本当にいろんなメンバーが参加していました。これをきっかけに今後も関わってほしいということで、このウォークラリーチームを、多世代を巻き込んで活動するチームとして独立させようと考えておられます。このように、新しく関わってくれた方を継続的に関わってもらえるようにしようとしています。

    まちづくり協議会のつくり方

    では実際、こういう協議会がどのように作られていったのかをご紹介したいと思います。
    先ほど買い物等支援をしていたまちづくり協議会の事例です。2013年ぐらいに初めて地域の代表者が集まって話し合いをされたんですが、その時に話題になったのが、「なぜまちづくり協議会が必要なのか」ということです。自治会長さんから「うちの自治会は充実した活動ができてるから、まちづくり協議会がなくても困らない」という話が出たので、地域の状況を改めて整理するために、実態調査をされました。校区にある全自治会で、どんな活動があるかをアンケート調査したところ、総務から福祉まで全項目にわたって活動されている自治会もあれば、防犯と防災の取り組みしかないところもあり、また、活動していることはしているけど、防災や防犯などは継続が難しくなってきていて、他の自治会と一緒に、もう少し広い単位での活動にできれば助かる、というところもありました。
    それで、自治会の役割も含めて一度整理をしようということで、協議会の設立に向けて検討を進めることになりました。1~2年検討を重ねられたと思います。最初はまちづくりの講演会や広報活動から始められました。まちづくりのあり方を変えようと思っていることを地域にPRするために、「これからのまちづくりという講演会をやるので来てください」と回覧したり、広報に関心のある方が何人かいたので、「今こういう形で見直してます」っていう広報誌を半年に1回ぐらい発行したりしていました。
    そういう積み上げを経て、改めて地域について一緒に考えてくれる人を募集しました。自治会長だけで考えるのも難しいし負担が大きいということで、組織を作るところから一般公募されたんですね。結果的に15人ぐらい集まって、うち5人ぐらいは自治会の役員とかじゃなく、PTAのOBなどもう一度地域に関わってみようという方でした。それで改めて、校区全体の状況を整理しようということで、住民アンケートを実施されました。そうすると、今後協力できるという方が114名いらっしゃった。その人たちを「まちづくり応援団」として、一緒にまちづくりやっていこうよっていう説明会をしながら、どうやったらこの人たちが関われる組織ができるのかとか、環境など関心のあるテーマが定まっている人も多いので、そういう人も入れるように部会を作った方がいいのかとか、住民意見交換会を開きながら約1年半~2年かけてまちづくり協議会を作られました。
    もう一つ、別の地域の事例なんですが、ここはもともと個別の自治会がかなり活発に活動していて、地域一帯での活動がない地域でした。それで自治会長さんたちが集まって話をする中で、ここでは自治会を集めて形だけの組織を作っても、みんなこの圏域で活動するという認識がなく、関わりようがないから意味がないんじゃないかという話になりました。そこで、改めて小学校区というエリアを認識してもらうために、校区全体で夏祭りをやってみようということになりました。それも「検討委員を募集」という形で、夏祭りを一緒に一から作ってみませんかと募集されました。それで集まったのが、お坊さんとか民生委員をされていた方、26~27歳ぐらいの消防団の副団長をされていた方などですね。組織の形を考える前にまず、夏祭りの検討チームを立ち上げたんです。そうやって手作りの夏祭りをみんなで作り上げた結果、夏祭りだけじゃ飽き足らなくなり、スポーツフェスティバルというスポーツイベントなんかも企画されていました。
    このように、「イベントを一緒にやりませんか」ということで次世代の担い手を獲得しながら、その中に今後のまちづくりを考えてくれそうな方もいたので、まちづくり協議会設置に向けた検討も並行して進めるというやり方で、最終的にまちづくり協議会を設立されました。
    民生委員をされていた方は、もともと福祉の活動に関心があったので、今は福祉フェスティバルというイベントを中心に活動されています。また、消防団の副団長さんは、9年たった今年の春、まちづくり協議会の会長になりました。明石では最年少の、30代後半の会長です。ここで夏祭りに関わった後、「次は自治会長をやらないか、日中は仕事が忙しいだろうからそこはわしらがやるから」というように、上の世代が若い人を応援しながら、何となく世代交代ができたということもありました。

    まとめ

    広く深くなっていく地域課題にどう取り組むかということと、そこに関わる人の裾野をどう広げるかという大きな背景は、明石市も京田辺市も共通だと思います。しかし、設立に向けての取り組みや組織のあり方、あるいはどういうエリアでまちづくり協議会を作るかというところはさまざまです。京田辺市の場合、今から議論を始めていかれるかと思いますが、まずはこのまちの地域づくりをどうしていくのかを考えることが大切じゃないかと思います。

    意見交換と発表

    5つのグループごとに意見交換。上村市長は各グループを回り、皆さんと一緒に意見交換を行いました。

    (1)A班:健康村・松井ケ丘・山手西・興戸・高木・普賢寺
    A班は、各地域の特徴と課題を話しました。組織の形を作ったら終わりではなく、自発的に手を上げてくれる方が自然発生的に出てくるのが理想ですが、なかなか理想通りにはいきません。それで何か仕掛けが必要だとは思うんですが、どういう仕掛けを作ればうまくいくのかがわからない、お手上げという感じでした。それでどんどん活動が縮小するとか、子どもが減ってきてとか、ネガティブな要素がいっぱいあって…みたいな感じでした。

    (2)B班:岡村・大住ケ丘・田辺・新田辺東住宅・南山東・水取
    課題の共有が難しいという話になりました。世帯数の少ない自治会では加入率が100%という状態ですが、その中でも役員のなり手不足や、地域全体の活気づくりというところに課題がありますし、世帯数の多いところでは、高齢化率が伸びていて取りまとめが難しいとか、加入率が低いために、本来は区・自治会として住民同士の意思疎通や行政と住民との橋渡しをしなければいけないんですが、その情報すら行き届かないような状況になっています。
    そんな中で、それらの地域共通の課題を見つけるのが非常に困難です。それで、まちづくり協議会というのが、それぞれの地域で今本当に必要なのかどうかということも、今はまだわからないというような意見が多かったです。

    (3)C班:三野・花住坂・一休ケ丘・江津・打田
    皆さんの話を聞いて、区・自治会によって状況は多様だなと感じました。レクチャーの中で「今後のまちづくり」という言葉を先生がよく使われたんですが、この「今後のまちづくり」という言葉の多様性というか、個々の自治会が持っている「まちづくり」のイメージが共通じゃないなと思いました。
    私どもの自治会では、ともかく高齢者対策をきちんとしなければということで進めております。これから人が減っていくことはわかってるわけですから、それに対する方策として、デジタル化を進めなければいけない。そこはまだ始まったばかりで、ある程度までしかできていませんが、それをどんどん推進する必要があると思っています。そういう意味では、各自治会は課題を一つ一つ消化というか解決していくことが現在重要になっていて、そこを合わせたからといって解決できるのか、疑問を感じています。
    最後に、市の職員がいらしたので話をさせてもらったのが、毎年、市への要望に関する照会がありますね。自治会の役員も1年任期ですので、中には、去年も一昨年も出してるのに今年も出すという案件もありますし、回答も同じような回答しか出てこない。こういうことをやっていては、長期的なまちづくりはできないと思います。その意味では、まちづくり協議会のような組織が、そういう市への要望、或いは自治会との関係などの中でうまく機能できれば、ちょっと違うんじゃないかと思います。
    一例を言いますと、私どもの地域には虚空蔵谷川が流れていて、そこは桜の名所として市がアピールしていこうということで、我々も協力しようとしていますが、今、かなりの桜が枯れてきてるんですね。毎年、市への要望書には、どこそこの桜が枯れてるので切ってくれというのがあるんですが、これを続けたら、桜の名所どころか切り株の名所みたいになってしまいます。そういったことを協議会で何とかしていただけるということなら、話がわかりやすいなと思います。

    (4)D班:松井・山手東・薪・新田辺西住宅・宮ノ口・高船
    古くから住んでおられる住民の多い、いわゆる旧村というところと、新興の住宅地のところと、区・自治会によってそれぞれ性格が違うわけです。古くから住んでおられるところは、町内のことはみんながわかっています。ところが新興住宅地では、隣近所とか2・3軒はわかるけど、ちょっと離れると全然わからない。なので、そういうところを一緒にしてまちづくり協議会というと、課題も違ってくると思うんです。
    我々新興住宅地では、一人暮らしで孤独死された例もあります。旧村ではそんなことは考えられないですよね。あのおばちゃん最近見ないな、どこ行った、とかそんな情報も共有できるし。新興住宅地では3日経ってもわからない。また、小学校への送り迎えとか子どもの見守りにしても、我々はどこの子どもさんかわからないけど、子どもはたくさんいるので、やっぱり地域での見守りはしていかないといけません。旧村ではどこの子どもかわかっているので、そういう意味では見守りのニーズは少ないかもしれません。そんなふうに、安心安全面についてもいろいろ違ってきます。
    そういう中で、まちづくり協議会をどういうふうに進めていくか、また、どのような地域割りでやっていくのか、その辺が課題かなと思います。大住地区では13の区・自治会が集まって連絡会をやっていて、そこで検討していこうとしていますので、またいろいろと教えていただきたいと思います。

    (5)E班:健康ケ丘・山手南・河原・草内・同志社山手
    旧村と新興住宅、地域によって課題も若干異なるというのが感想です。
    また、まちづくり協議会の必要性についても賛否両論あって、区・自治会が抱えている課題だけでも大変な中で、さらに上の組織であるまちづくり協議会をやっていくという負担を指摘されるところが多くありました。まちづくり協議会が広域で機能しだしたら、それにぶら下がる区・自治会の活動がより簡便になって、負担も解消されるのかなとも考えられますが、最初の産みの苦しみみたいなところは、少し努力がいるのかなと感じました。
    意見交換の際に市長にもお願いしたんですが、そういう産みの苦しみのところ、今三山木エリアでもまちづくり協議会のような組織の立ち上げを先行的にやろうとしてるんですが、三山木地域の11の区・自治会で同じような課題がありますので、一番最初の原動力となる部分を市にサポートしてもらいながら、成功できるように進められたらと思います。

    講師講評

    お話の中にあった桜の活動については、明石でも桜を守ろうという活動をしている地区があります。いくつかの自治会にまたがっている桜並木で、管理が県や市などいろいろなので、要望を上げるにしても、自治会だけだと役員が1年任期のこともあってなかなか伝わらない。それで各地区から意見を集めて、各自治会とまちづくり協議会の連名で県や市に要望したり、こんなことを一緒にできないかという提案をされたりしていました。その事例は「桜守プロジェクト」ということで、樹木に詳しい方が地域に数名いらっしゃったので、県や市が整備してくれたら、その方々と子どもたちで桜の守をしていくので、それも考慮して何かできないかという交渉を、まちづくり協議会が間を取り持ってしていました。
    もう1点、活動をコーディネートしてくれる人がいないと進まないんじゃないかという話があったと思います。今日はそのあたりの話があまりできなかったんですが、明石市の場合は、常設でまちづくり協議会の活動をコーディネートする事務局の人がいます。自治会長とは別に、各事業の中で公募した数名の人たちが、日々来られる住民さんに「まちづくり協議会に関わらないか」という声かけをしたり、自治会の困りごとをヒアリングして解決に向けた情報を提供したりする窓口です。そういった窓口を置いているところでは、やはり日々の情報交換が密になり、活発な活動に繋がっています。そのあたりが皆さんの言われた「もう少しプラスアルファ」っていうところなのかなと思いました。
    あと1点、どういう圏域でまちづくり協議会をやっていくのかというところです。明石市では概ね小学校区ですけど、中には3つの小学校区に跨っているところもあるんですね。そこでは、子どもたちの見守り、あるいは高齢者の見守りはどの圏域でやるのかというところが今まさに課題になっています。これからまちづくり協議会を立ち上げていく上で、それぞれの自治会で重なっている活動を一本化しようとするときに、どの圏域でやるのが一番効果的に活動できるのか、その構造をどうするかは議論が大切だと思います。
    明石市でも同じ圏域内に似通った団体が複数あることがあります。まちづくり協議会の防災防犯部会という組織があるんですが、ほぼ同じ圏域に、過去の県や市の縦割りに紐付く形で、防犯協会・防災協会・婦人防火クラブ…など似たような団体がたくさんあります。メンバーも、防犯協会副会長が婦人防火クラブの会長というようにほぼ重なっていて、もったいないという話が出ています。防災は単一の自治会では難しい部分もあるので、まちづくり協議会の防災部会に機能と人を集約しようという議論も進んでいます。もし詳しく聞いてみたいということであれば、明石の事例をお伝えできますので、お声がけいただければと思います。本日はどうもありがとうございました。

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