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    統一的な基準による財務書類(平成28年度決算)について

    • [2018年5月2日]
    • ID:12312

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    第1章 財務書類の概要

    はじめに

     一般企業の会計は、複式簿記による発生主義会計を採用していますが、京田辺市を含む地方公共団体における予算・決算に係る会計制度(官庁会計)は、現金収支を重視し予算の適正・確実な執行を図るという観点から、客観性、透明性に優れた単式簿記による現金主義会計を採用しています。

     単式簿記による現金主義会計では、ストック(資産・負債情報等)やコスト(減価償却費等現金の動きを伴わないコスト)情報が不足するとされており、本市においては企業会計(複式簿記による発生主義会計)の考え方を用いた財務書類を平成20年度決算分から「総務省方式改定モデル」により作成し、公表してきました。

     その後、固定資産台帳の整備等により客観性、比較可能性を担保した「統一的な基準」による地方公会計の整備の方針が平成26年に示され、平成27年1月には「統一的な基準による地方公会計マニュアル」が示されたことを受け、本市においても平成28年度決算分より統一的な基準による財務書類を作成し、公表するものです。


    財務書類4表

     財務書類は、「貸借対照表」、「行政コスト計算書」、「純資産変動計算書」、「資金収支計算書」の4種類で構成されています。

     各財務書類の概要は、以下のとおりです。

    財務書類4表
     名称 
     貸借対照表 基準日時点における財政状態(資産・負債・純資産の残高および内訳)を表示したもので、公共資産等の保有量、基金残高、その財源となる地方債残高等を一覧表にしたもの。
     行政コスト計算書 一会計年度中の費用(現金収支を伴わない減価償却費等を含む)・収益の取引高を表示したもので、一年間の行政サービスに係る経費とそれに伴う使用料および手数料を表したもの。
     純資産変動計算書 一会計年度中の純資産(およびその内部構成)の変動を表したもの。
     資金収支計算書 一会計年度中の現金の収入・支出を3つの区分(業務・投資・財務)で表したもの。

    全体・連結財務書類

     本市の財務書類は、一般会計に休日応急診療所特別会計を加えた「一般会計等財務書類」(以下「一般会計等」という。)、市に属する公営事業および公営企業の特別会計分を加えた「全体財務書類」(以下「全体」という。)、市と連携して行政サービスを実施している関連団体の会計を加えた「連結財務書類」(以下「連結」という。)をそれぞれ作成しています。

    対象となる会計の範囲

    区分

    会計名等

    連結財務書類

    全体財務書類

    一般会計等財務書類

    一般会計

    休日応急診療所特別会計

     

    国民健康保険特別会計

    介護保険特別会計

    後期高齢者医療特別会計

    公共下水道事業特別会計 ※

    農業集落排水事業特別会計 ※

    水道事業会計

     

     

    京都地方税機構

    京都府自治会館管理組合

    京都府住宅新築資金貸付事業管理組合

    京都府後期高齢者医療広域連合

    学研都市京都土地開発公社

    京田辺市都市緑化協会

    枚方京田辺環境施設組合

    ※ 公共下水道事業特別会計および農業集落排水事業特別会計は、平成30年度から公営企業法を一部適用していることから、平成28年度決算財務書類の連結対象から除外しています。

    第2章 財務書類4表

    貸借対照表

    本市の平成28年度末時点での貸借対照表は、表のとおりです。

    (1)全体

     「資産」は、将来の資金流入をもたらすもの、将来の行政サービス提供能力を有するものです。本市の資産総額は、一般会計等で89,407百万円、全体で109,988百万円、連結で111,168百万円となりました。

     一方、「負債」は将来債権者に対する支払い返済により地方公共団体から資金流出をもたらすものです。負債総額は一般会計等で26,182百万円、全体で30,932百万円、連結で31,231百万円となりました。

     「純資産」は資産と負債の差額であり、地方税、地方交付税、国庫補助金など将来の資金の流出を伴わない財源などが計上されています。純資産総額はそれぞれ一般会計等で63,225百万円、全体で79,056百万円、連結で79,937百万円となりました。

    (2)固定資産

     固定資産は本市が公共サービスを提供するために保有している資産です。有形固定資産は事業用資産とインフラ資産、物品に区分して計上します。平成28年度末時点で有形固定資産は一般会計等で81,546百万円となっており、資産全体の91.2%を占めています。一般的に地方公共団体では有形固定資産が資産の大部分を占めることが多く、本市においても、資産全体に占める割合は高くなっています。 

    (3)流動資産

     現金と、将来的に現金化が可能な資産等が計上されており、現金預金・未収金・基金等から構成されています。平成28年度末時点での流動資産の総額は一般会計等で2,378百万円で、うち現金預金の残高は568百万円となっています。 

    (4)固定負債

     主に地方債と退職手当引当金から構成されます。平成28年度末時点での固定負債の総額は一般会計等で23,081百万円となっています。 

    (5)流動負債

     主に翌年度に償還予定の地方債と賞与等引当金、未払金や預り金等から構成されています。平成28年度末時点での流動負債の総額は、一般会計等で3,101百万円となっています。

    (6)純資産

     資産と負債の差額として計上される純資産は、過去の世代や国、府が負担したもので、将来的な負担がない資産です。平成28年度末では一般会計等で63,225百万円となりました。

    行政コスト計算書

    本市の平成28年度行政コスト計算書は、表のとおりです。

    (1)全体

     通常の行政サービスの提供に要したコスト(経常費用)と通常の行政活動に伴い生じた収入(経常収益)との差額(純経常行政コスト)は、一般会計等で20,643百万円、全体で31,750百万円、連結で38,251百万円のそれぞれ赤字となりました。これに臨時的な収支を加味した差額(純行政コスト)は、一般会計等で20,699百万円、全体で31,820百万円、連結では38,321百万円のそれぞれ赤字となりました。

     なお、多くの地方公共団体にあっては、民間企業と異なりサービスを提供しても直接的に対価を受け取ることが少なく、費用が収益を上回ることが多い傾向にあります。

    (2)人件費

     職員給与や議員に支払う報酬などのほか、退職手当引当金繰入額や賞与等引当金繰入額が含まれます。発生主義では、全職員が退職したと仮定した場合の見込み額を退職手当引当金として貸借対照表に計上するため、退職手当引当金の平成28年度増加分を退職手当引当金繰入額として人件費に計上しています。平成28年度人件費総額は一般会計等で5,368百万円となりました。 

    (3)物件費等

     主に物件費、減価償却費が計上されています。このうち減価償却費は、日数の経過等による資産価値の目減り分(1年分)です。平成28年度の減価償却費は一般会計等で2,098百万円となりました。

    (4)その他の業務費用

     主に支払利息や徴収不能引当金繰入額等が計上されています。このうち支払利息は、主に市の地方債に対する利子償還額を計上しています。平成28年度のその他の業務費用の総額は336百万円となりました。

    (5)移転費用

     主に補助金等や社会保障給付が計上されています。社会保障給付には、生活保護や児童福祉等に関する費用を計上しています。平成28年度の移転費用の総額は一般会計等で9,391百万円となりました。

    (6)経常収益

     使用料および手数料等が計上されています。使用料および手数料は、通常の行政サービスを行うことで市が受益者から受け取る使用料手数料等です。平成28年度の経常収益の総額は、一般会計等で1,308百万円となりました。

    純資産変動計算書

    本市の平成28年度純資産変動計算書は、表のとおりです。

    (1)全体

     純資産は、資産と負債の差額として計上されるもので、過去の世代や国、府が負担したもので、将来的な負担がない資産です。純資産変動計算書は、これら純資産の変動内訳を示しています。平成28年度の純資産変動額は、一般会計等で1,790百万円、全体で2,067百万円、連結で2,007百万円それぞれ増加しました。

    (2)純行政コスト

     純行政コストは、行政コストで計算された純行政コストが計上されています。1年間の行政活動の結果発生した費用は純資産を減らす大きな要因となっています。平成28年度の純行政コストは一般会計等で20,699百万円となりました。 

    (3)財源

     純資産を増加させる要因として、財源があります。財源の具体的な内訳としては、地方税、地方交付税、補助金等が計上されています。平成28年度の財源は、一般会計等で19,761百万円となりました。

    (4)税収等

     財源のうち税収等には、市税、地方交付税、地方消費税交付金等のほか、国民健康保険特別会計、介護保険特別会計、後期高齢者医療特別会計の保険料等が計上されています。平成28年度の税収等総額は、一般会計等で14,849百万円となりました。

    (5)国県等補助金

     国県等補助金は、国や京都府からの補助金等が計上されています。平成28年度の国県等補助金の総額は一般会計等で4,912百万円、全体で6,753百万円、連結で9,996百万円となりました。

    (6)本年度末純資産残高

     平成28年度末の純資産残高は、一般会計等で63,225百万円となりました。このうち資産形成のために充当した資源の蓄積である固定資産等形成分が88,770百万円、地方公共団体で費消可能な財源の蓄積である余剰分(不足分)が△25,545百万円となりました。なお、余剰分(不足分)は貸借対照表上「純資産残高-固定資産等形成分」により算出され、マイナスになることが多く、この場合余剰分(不足分)は基準日時点における将来の金銭必要額を示しています。

    資金収支計算書

    本市の平成28年度資金収支計算書は、表のとおりです。

    (1)全体

     業務活動収支は一般会計等で1,109百万円、全体で1,644百万円、連結で1,948百万円の黒字となった一方、投資活動収支は一般会計等で539百万円、全体で985百万円、連結793百万円の赤字となり、財務活動収支でも一般会計等で1,032百万円、全体で1,097百万円、連結1,644百万円の赤字となったことから、平成28年度の資金収支額としては一般会計等で462百万円、全体で438百万円、連結489百万円の赤字となりました。

    (2)業務活動収支

      業務活動収支は地方公共団体が営む経常的事業等から生じる支出と収入を集計し、その差額を示したものです。業務支出には人件費、物件費、他会計への繰出金、補助金等が計上され、業務収入には、市税、使用料手数料、国や府の補助金等が計上されます。平成28年度業務活動収支は、一般会計等で1,109百万円の黒字となりました。

     なお、収入のうち大きな割合を占める税収等は直接純資産を増やす要因として純資産変動計算書で、使用料および手数料等については収益として行政コスト計算書で計上しており、資金収支計算書ではこれら2つを業務収入としてまとめて計上するため、通常、業務活動収支は黒字となります。 

    (3)投資活動収支

     投資活動収支は地方公共団体が営む投資的事業に係る臨時・特別に発生する支出と収入を集計し、その差額を示したものです。投資活動支出は貸借対照表における資産を形成するための支出が計上され、投資活動収入は資産形成の財源となる国庫補助金や基金取崩収入等が計上されます。平成28年度投資活動収支は一般会計等で539百万円、全体で985百万円、連結では793百万円の赤字となりました。 なお、資産形成には多くの資金が必要となることから、通常、投資活動収支は赤字となります。

    (4)財務活動収支

     財務活動収支は、地方債の元本償還等の支出と、新規に発行した地方債収入を集計し、その差額を示したものです。地方債の元本償還と新規発行地方債の多寡によって収支が決まるため、元本償還を進めれば進めるほど赤字となります。平成28年度財務活動収支は一般会計等で1,032百万円、全体で1,097百万円、連結で1,644百万円の赤字となりました。

    (5)本年度末現預金残高

     上記の収支に、前年度末資金残高および歳計外現金とその増減を合算した本年度末預金残高および歳計外現金とその増減を合算した本年度末現金預金残高は一般会計等で568百万円、全体で5,431百万円、連結で5,848百万円となりました。

    第3章 財務書類の分析

    資産形成度

     資産形成度による分析は、「将来世代に残る資産はどのくらいあるか」を明らかにするものです。統一基準による財務書類においては固定資産台帳の整備が前提とされており、貸借対照表の資産の部において、地方公共団体の保有する資産のストック情報を網羅的に把握しています。これを住民1人当たり等の指標を用いて分析することで、これまでにない新たな視点を提供することができます。

    (1)住民一人あたり資産額・・・1,311千円

    ■計算式■

     資産額÷住民基本台帳人口(平成29年1月1日現在68,201人)

    ■ 説明 ■

     資産額を住民基本台帳人口で除して住民1人当たり資産額とすることにより、人口規模に対して資産の割合が多いか少ないかが明らかになります。

    ■ 分析 ■

     本市の住民1人当たり資産額は1,311千円となりました。有形固定資産は将来のコストを発生させる要因にもなることから、今後、資産の状況を経年比較、類似団体比較することにより、適正なレベルで維持することが重要です。

    (2)歳入額対資産比率・・・3.67年 (自治体平均値3.0~7.0)

    ■計算式■

     資産額÷歳入総額

    ■ 説明 ■

     当該年度の歳入総額に対する資産の比率を算出することにより、これまでに形成されたストックとしての資産が歳入の何年分に相当するかを表し、地方公共団体の資産形成の度合いを測ることができます。

    ■ 分析 ■

     本市の歳入額対資産比率は3.67年となりました。自治体の平均的な水準の範囲内となっています。

    (3) 資産老朽化比率 63.5%

    ■計算式■

     減価償却累計額÷(償却資産評価額+減価償却累計額)×100

    ■ 説明 ■

     有形固定資産のうち、償却資産の取得価額等に対する減価償却累計額の割合を算出することにより、耐用年数に対して資産の取得からどの程度経過しているのかを全体として把握することができます。

    ■ 分析 ■

     本市の資産老朽化比率は全体で63.5%となりました。このうち、事業用資産が63.2%、インフラ資産が64.1%、物品が56.6%となっています。これは耐用年数に対して、資産の取得から6割程度経過していることを意味しており、今後、資産老朽化の状況を経年比較、類似団体比較することにより、更新時期に留意する必要があります。

    (4) 有形固定資産の行政目的別割合

    ■ 説明 ■

     有形固定資産の行政目的別(生活インフラ・国土保全、福祉、教育等)の割合を算出することにより、行政分野ごとの社会資本形成の比重を把握することができます。

    ■ 分析 ■

     本市の有形固定資産の行政目的別割合では、道路等の「生活インフラ・国土保全」で52%を占めており、次に多いのが学校施設等の「教育」で22%、庁舎等の「総務」が17%となっています。

    世代間公平性

     世代間公平性による分析は、「将来世代と現世代との負担の分担は適切か」を明らかにするものです。これは、貸借対照表上の資産、負債および純資産の対比によって明らかにされるものです。

    (1)純資産比率・・・70.7% (自治体標準60%程度)

    ■計算式■

     純資産額÷総資産×100

    ■ 説明 ■

     純資産比率は総資産に対して、過去および現世代がどの程度負担してきたかを示すものです。地方公共団体は、地方債の発行を通じて将来世代と現世代の負担の配分を行うことから、純資産の変動は将来世代と過去および現世代との間で負担の割合が変動したことを意味します。

    ■ 分析 ■

     本市における純資産比率は70.7%で、社会資本等の形成に関して過去および現世代が70%以上を負担してきたことを意味します。なお、自治体では一般に純資産比率は60%程度が標準と言われており、これと比較すると将来世代の負担は少ないことになります。

    (2)将来世代負担比率・・・25.3% (自治体上限40%程度)

    ■計算式■

     地方債残高÷有形固定資産×100

    ■ 説明 ■

     将来世代負担比率は有形固定資産に対して、将来の償還等が必要な負債による形成割合を示すものです。これにより社会資本等の形成に係る将来世代の負担の比重を把握することができます。

    ■ 分析 ■

     本市における将来世代負担比率は25.3%で、自治体で一般的に上限とされる40%と比較すると低い値となりました。全国的な傾向として過去世代が負担してきた社会資本は老朽化が進み、将来世代の人口は今後減少局面を迎えることを考えれば、将来世代の負担の先送りは一定程度に抑えるべきと考えられます。

    持続可能性(健全性)

     持続可能性(健全性)による分析は、「財政に持続可能性があるか」を明らかにするもので、財政運営における本質的な視点です。これに関しては第一に地方財政健全化法の健全化判断比率(実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率および将来負担比率)による分析が行われますが、これに加えて財務書類も有用な情報となります。

    (1)住民1人当たり負債額・・・384千円

    ■計算式■

     負債額÷住民基本台帳人口(平成29年1月1日現在68,201人)

    ■ 説明 ■

     負債額を住民基本台帳人口で除して住民1人当たり負債額とすることにより、人口規模に対して負債の割合が多いか少ないかが明らかになります。

    ■ 分析 ■

     本市における住民1人当たり負債額は384千円となりました。今後、負債の状況を経年比較、類似団体比較することにより将来世代の負担が過重とならないように注意が必要です。

    (2)基礎的財政収支(プライマリーバランス) 753百万円(黒字)

    ■計算式■

     業務活動収支(支払利息支出除く)+投資活動収支

    ■ 説明 ■

     地方債等の元利償還額を除いた歳出と、地方債等発行収入を除いた歳入のバランスを示すもので、当該バランスが均衡している場合には経済成長率が長期金利を下回らない限り経済規模に対する地方債等の比率は増加せず、持続可能な財政運営であるといえます。

    ■ 分析 ■

     本市における平成28年度基礎的財政収支(プライマリーバランス)は753百万円の黒字となりました。なお、基礎的財政収支は国の財政健全化目標にも用いられていますが、地方の場合は国と異なり、建設公債主義がより厳密に運用されていることから、自己判断で赤字公債に依存することができず、国と地方で基礎的財政収支を一概に比較すべきでないことにも留意する必要があります。

    (3)債務償還可能年数・・・ 15.16年

    ■計算式■

     実質債務(将来負担額*¹-充当可能基金残高*¹)÷償還財源上限額(業務収入等*²-業務支出)

    *¹将来負担額および充当可能基金残高については、地方公共団体財政健全化法上の将来負担比率の算定式による

    *²業務収入は、資金収支計算書における業務収入に減収補填債特例分発行額と臨時財政対策債発行可能額を加えた額とする。

    ■ 説明 ■

     実質債務(将来負担額から充当可能基金等を控除した実質的な債務)が償還財源上限額(資金収支計算書における臨時収支を除く業務活動収支の黒字分)の何年分あるかを示す指標で、債務償還能力は債務償還可能年数が短いほど高く、長いほど低いといえます。

    ■ 分析 ■

     本市における債務償還可能年数は、15.16年となりました。債務償還可能年数は償還財源上限額を全て債務の償還に充当した場合に、何年で現在の債務を償還できるかを表す理論値ですが、債務の償還原資を経常的な業務活動にどれだけ確保できているかということは、債務償還能力を把握する上で重要な視点の一つであることから、今後も引き続き推移を注視する必要があります。

    (4)流動比率・・・76.7%

    ■計算式■

     流動資産÷流動負債×100

    ■ 説明 ■

     短期的な債務である流動負債の返済能力を判断する指標で、手元流動性(短期的な資金繰り)を示す指標です。比率が高いほど短期的な資金繰りにおいて余裕があり、安定性が高いといえます。

    ■ 分析 ■

     本市の流動比率は76.7%と100%を下回っています。資金繰りに安定性を持たすためにも、流動比率の推移を注視する必要があるといえます。

    効率性

      効率性は、「行政サービスは効率的に提供されているか」を明らかにするものです、財政の持続可能性と並んで重要な視点です。地方自治法においても「地方公共団体は、その事務を処理するに当たっては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最小の経費で最大の効果を上げるようにしなければならない」(同法第2条第14項)とされており、財務書類はこうした行政サービスの効率性をチェックするのに有効です。

     例えば、行政の効率性については、本市を含む多くの地方公共団体においては行政評価等を通じて個別に取り組んでいるところですが、行政コスト計算書は地方公共団体の行政活動に係る人件費や物件費等の費用を発生主義に基づきフルコストとして表示するものであり、行財政の効率化を目指す際に不可欠な情報を一括して把握できます。

    (1)住民1人当たり行政コスト・・・303千円 

    ■計算式■

     純行政コスト÷住民基本台帳人口(平成29年1月1日現在68,201人)

    ■ 説明 ■

     行政コスト計算書で算出される純行政コストを住民基本台帳人口で除して住民1人当たり行政コストを算出することにより、人口規模に対する行政コストの割合が多いか少ないかが明らかになります。

    ■ 分析 ■

     本市における住民1人当たり行政コストは303千円となりました。住民1人当たり行政コストは、地方公共団体の行政活動の効率性を図る指標であることから、今後、行政コストの状況を経年比較、類似団体比較することにより、引き続き注視する必要があります。

    弾力性

      弾力性による分析は、「資産形成等を行う余裕はどのくらいあるか」を明らかにするものです。財政構造の弾力性を示す指標としては経常収支比率(経常経費充当一般財源の経常一般財源総額に占める比率)等が用いられますが、財務書類による分析も有用です。

     例えば、純資産変動計算書において、地方公共団体の資産形成を伴わない行政活動にかかる行政コストに対して地方税、地方交付税等の当該年度の一般財源等がどれだけ充当されているか(行政コスト対税収等比率)を示すことができます。これはインフラ資産の形成や施設建設等の資産形成を行う財源的余裕度がどれだけあるかを示すものであるといえます。

    (1)行政コスト対税収等比率・・・104.5%

    ■計算式■

     純経常行政コスト÷財源×100

    ■ 説明 ■

     税収等の一般財源等に対する純行政コストの比率を算出することによって、当該年度の税収のうち、どれだけが資産形成を伴わない行政コストに費消されたのかを把握することができます。この比率が100%に近づくほど資産形成の余裕度が低いといえ、さらに100%を上回ると過去から蓄積した資産が取り崩されたことを表します。

    ■ 分析 ■

     本市の行政コスト対税収等比率は104.5%で100%を上回っています。これは経常的に発生する行政コストを、市税等の税収等では賄いきれず、過去からの蓄積された資産が取り崩されたことを表しています。

    自律性

     自律性は、「歳入はどのくらい税収等で賄われているか(受益者負担の水準はどうなっているか)」を明らかにするものです。

     これは地方公共団体の財政構造の自律性に関するものであり、決算統計における歳入内訳や財政力指数が関連しますが、財務書類においても行政コスト計算書で使用料・手数料などの受益者負担の割合を算出することが可能であり、これを受益者負担水準の適正さの判断指標として用いることができます。

    (1)受益者負担の割合・・・6.0%

    ■計算式■

     経常収益÷経常費用×100

    ■ 説明 ■

     行政コスト計算書の経常収益は、使用料・手数料など行政サービスにかかる受益者負担の金額であり、これを経常経費と比較することにより行政サービスの提供に対する受益者負担の割合を算出することができます。地方公共団体の行政サービス全体の受益者負担の割合を経年比較や類似団体比較により、本市の受益者負担の特徴を把握することができます。

    ■ 分析 ■

     本市の受益者負担の割合は6.0%となりました。今後、行政サービス全体の受益者負担の割合を経年比較、類似団体比較することにより、本市の受益者負担の特徴を把握することが重要です。

    お問い合わせ

    京田辺市役所総務部財政課

    電話: (財政)0774-64-1312

    ファックス: 0774-63-4781

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