令和7年度施政方針
- [2025年2月26日]
- ID:22061
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はじめに
本日、ここに、令和7年第1回京田辺市議会定例会を招集いたしましたところ、議員各位には、何かとご多用のなか、ご参集いただき厚くお礼申し上げます。
さて、私の市長2期目のまちづくりも早くも折り返しを迎えます。これまでに、「学校給食センター整備」と「田辺公園の拡張整備」が完了し、令和7年度末には、枚方市との「可燃ごみ広域処理施設」も稼働を迎えるなど、大型事業も順調に進んでいるところです。
引き続き、「田辺北地区新市街地整備」をはじめ、未来の京田辺を支える大きな柱となる事業を確実に前進させるとともに、「中期まちづくりプラン」に基づくまちづくりや「行政改革実行計画」に掲げる取組みのほか、デジタル化や働き方改革への対応を加速し、持続可能で効率的な行財政運営に取り組んでまいります。
また、まちづくりへの市民ニーズが多様化するなかで、市民の皆様との対話を積極的に進め、多様な主体が、それぞれの役割と責任において協力し合い、人と人とのつながりのなかで、安心して暮らすことができ、温もりと賑わいのある「ふるさと京田辺」を築いてまいります。
そして、議員の皆様との連携を図りながら、職員と一丸となって、都市像「緑豊かで健康な文化田園都市」の実現に全力で取り組んでまいります。ここに、令和7年度に臨むにあたり、私の市政運営に関する考え方を申し上げ、議員並びに市民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。

基本認識
さて、日々の暮らしのなかで、アフターコロナを実感できるまでに、賑わいと経済活動が回復してまいりました。しかし、世界では、未だロシアウクライナ問題が終結しないほか、各地で異常気象によって大きな自然災害が発生しています。このため、国際社会が協力して、世界平和と異常気象の原因となる地球温暖化防止に取り組まなければなりません。
国内では、石川県能登地方で大地震や記録的大雨といった大規模災害が相次いで発生しており、自然災害に対する危機管理の強化が求められています。
また、団塊世代の全員が75歳以上の後期高齢者となり、労働力不足対策としての人材マネジメントの必要性が高まるほか、税収の減少や市場縮小など、社会に様々な影響が及ぶことが懸念され、それぞれに対応が必要となります。
さらには、原材料高に加えて、物流費や人件費の増加によって、物価上昇した食品や日用品等の高止まりが続くことが予測されることから、市民生活を支援するための対策も必要になるところです。
そうしたなか、本年4月から、大阪市夢洲を会場に「大阪・関西万博」が開催されます。
本市でも、関西パビリオンの多目的エリアで行われる物産系イベントに観光協会と共同で出展し、「一休品」等の特産品を販売します。ステージ系イベントには「大住隼人舞保存会」が出演し、民俗芸能を披露します。また、京都ブースでは、来場者に「京田辺玉露」を味わっていただけるよう取り組んでまいります。さらに、関西文化学術研究都市において開催される「けいはんな万博2025」でも、京田辺の極上の玉露を体験できる機会を設けてまいります。
こうしたことから、観光客を呼び込み、京田辺でひと休みいただくチャンスとして万博を生かさなければなりません。
そのほか、新名神高速道路全線開通や北陸新幹線新駅設置を、まちのさらなる発展につなげなければなりません。
以上、本市を取り巻く状況をしっかり認識し、京田辺の明るい未来に向けてまちづくりを進めてまいります。

基本政策と市政運営の視点
令和6年度から、「中期まちづくりプラン」による新たなまちづくりがスタートしており、重点プロジェクトである「次の世代を育てるこどもまんなかのまちづくり」「つながりと安心のまちづくり」「持続可能で魅力ある都市づくり」を中心として、施策事業の展開を加速しなければなりません。
また、プラスワンとする「情報発信と効率的な行財政運営」についても、着実に推進しなければなりません。
さらには、少子高齢化の急速な進展と将来の人口減少に対応するため、出生率低下の克服と地域経済の活性化につながる施策の展開が必要になります。
こうした背景を踏まえ、次期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」により、「こども・子育ての希望をかなえるまちづくり」など、4つを基本目標とし、地方創生の充実強化に向けた取組みを推進してまいります。
一方、こうした取組みを計画的かつ確実に推進するためには、施策を推進する人材と組織の育成に加え、持続可能な財政構造の構築が不可欠です。そのため、「行政改革実行計画」に掲げる取組みにも重点を置いたまちづくりが求められます。
特に、施策推進の原動力となる「人」が重要であるため、市役所では働き方改革を進め、まちを理解し、豊富な知識と情報を持ち、情熱と柔軟な行動力でどのような課題にも対応できる職員を育成します。
また、デジタル化を推進し、効率的に行政サービスを提供できるよう取り組んでまいります。
さらに、市民と市が、それぞれの役割と責任において協力し合い、課題解決が図れる社会を構築するため、地域における人材の発掘と育成にも取り組んでまいります。
そして、市民との協働によって、京田辺の将来をしっかり見据えたまちづくりを推進し、都市像「緑豊かで健康な文化田園都市」の実現を目指します。
以上の基本政策と視点により、まちづくりに取り組んでまいります。

令和7年度予算編成方針
令和7年度当初予算については、「第4次総合計画中期まちづくりプラン」の2年目として、未来に向け更なる飛躍のための重要な年であり、将来にわたり本市の持続可能な発展を実現するため、次の5つの基本方針に基づいて予算編成を行いました。
1 本市の目指す都市像である「緑豊かで健康な文化田園都市」の実現に向け、 第4次総合計画に掲げる事業への取組みを一層進めること。
2 全てのこども・若者の健やかな成長を社会全体で支えていく「こどもまんなか社会」の実現に向けて、一体的で切れ目のない子育て環境の整備や教育環境の向上など、次代を担う者への支援を推進すること。
3 近い将来発生が予想されている南海トラフ地震や気候変動の影響により激甚化する自然災害の発生に対し、国土強靱化施策の重要性がさらに増している。誰もが安全・安心に日常を送ることができるよう、有事に備えたソフトハード両面での防災・減災対策の推進を加速すること。
4 将来の人口減少等を見据え、社会課題を解決する鍵となるデジタル技術を活用し、住民と行政との接点の改革(フロントヤード改革)による市民サービスの向上とBPR(業務改革)の推進による行政事務の効率化(バックヤード改革)を一体として図ること。
5 厳しい財政状況のなか、持続可能な財政運営を維持し、かつ地域の課題解決に向けた事業を推進するため、各事業の目的と効果の検証、社会情勢の変化を反映したゼロベースでの再構築を行うとともに、国・府と連携した財源確保や企業誘致による歳入確保、民間活力の導入や公共施設マネジメントの推進による歳出の削減などの取組みを進めること。
以上の基本方針に沿って、「未来のふるさと予算」として、当初予算を編成した結果、
一般会計が、過去最高額の351億800万円
5特別会計が、127億3,060万円
公営企業における3事業会計が、64億6,800万円
総額では、543億660万円となったところです。

令和7年度の主要施策
次に、令和7年度に展開します主要施策について、まちづくりの「5つのキーワード」に沿って、順次ご説明申し上げます。

第1に、「安全・安心」をキーワードとした取組みであります。
昨年、石川県能登地方では、元日に最大震度7を観測する大規模地震が発生し、9月には記録的大雨が降るなど、2度にわたり甚大な被害をもたらす自然災害が発生しました。
日本の国土は、自然的な条件から台風、豪雨、洪水、地震等による災害が発生しやすく、年々被害も大きくなっていることから、本市においても想定される自然災害に対し、平時から訓練等を通じて自助、共助、公助の観点で備えを強固にし、危機管理に努めてまいります。
また、市民生活を交通事故や犯罪のほか、火災等の災害から守り、市民が安全に安心して暮らせる地域づくりを進めることで「安全で心安らぐ優しいまち」を目指してまいります。
まず、防災・減災対策においては、昨年実施した同志社国際高等学校での訓練をもって、14か所全ての指定避難所での避難所運営訓練が完了しました。令和7年度は、区・自治会、防災関係機関等が参加する訓練を実施してまいります。訓練では、市民が段ボールベッドや簡易トイレ等の組立てを行うほか、消防署等による展示・体験エリアを設け、市民の防災意識の向上と各防災関係機関との協力体制の充実に取り組んでまいります。
また、整備を進めています防災広場においては、防災備蓄倉庫等の新築工事に着手するほか、防災無線についても機器を更新し、災害時の通信手段としての機能向上を図ります。
さらに、木造住宅について、地震による倒壊などの危険性が高いため、引き続き耐震改修への補助を行うことで、地震に強いまちづくりを推進してまいります。
次に、消防体制の整備では、救急救命士が行う救命措置に必要な資機材を搭載した高規格救急車を更新し、救命率の向上に努めてまいります。また、共同化を進めている「京都府南部消防指令センター」についても、令和9年度からの運用開始に向けた施設整備に取り組んでまいります。
次に、治水対策では、国、京都府、綴喜西部土地改良区と連携し、引き続き「田辺排水機場」「新西浜樋門」と「放水路」の整備に取り組むとともに、放水路につながる「田辺北排水路」の拡幅に必要な用地取得を進め、田辺北地区の新市街地を含む中心市街地周辺の治水安全度の向上に努めてまいります。
次に、防犯対策では、区・自治会と連携を図り、防犯カメラや防犯灯の設置を進めることで、犯罪の抑止と地域の防犯力強化に取り組んでまいります。
また、消費者被害の防止では、市民が悪質商法の手口や対処方法を身に付け、不審な勧誘を察知し自身で断ることができるよう、引き続き啓発活動に注力するほか、関係機関との連携による相談体制を強化し、消費者トラブルの未然防止に取り組んでまいります。
次に、平和都市の推進では、令和7年は戦後80年を迎えることから、平和都市推進協議会と連携し、「平和のつどい」等の事業に、子どもから高齢者まで幅広い世代の市民に参加いただけるよう取り組んでまいります。
次に、人権尊重の取組みについて、近年、インターネットを利用した人権侵害や「いじめ」による児童生徒の自殺、さらには病院や養護施設における高齢者への虐待、ハラスメント等が深刻な社会問題となっています。市民の身近な生活において人権侵害が発生する状況を踏まえ、市民が様々な人権問題の実態と原因を正しく理解し、一人ひとりの個性や多様性を尊重しながら、支え合って生活できるよう、人権教育・啓発と相談事業を展開してまいります。また、性的マイノリティの方が安心して暮らし、自分らしく生きることができる社会をつくるため、パートナーシップ制度の導入に向けて取り組んでまいります。
さらに、男女が社会の構成員として、自らの意思により、社会のあらゆる分野で対等に活動できるよう、女性の就業支援、男性の家事・育児への参画やワーク・ライフ・バランスの実現に向けて、各種講座を通じた意識啓発と相談事業を展開してまいります。

第2は、「緑」をキーワードとした取組みであります。
市民が甘南備山をはじめとした里山や街なかの緑に囲まれ、四季の移ろいを感じながら、心癒やされて暮らすことができる緑あふれるまちを目指し、緑の保全と創出に努めるほか、市民と協調して良好な街なかの緑の育成と管理に取り組んでまいります。
また、大気中の二酸化炭素(CO2)濃度上昇等により気候変動が進行し、世界各地で猛暑や豪雨等の気象災害が発生し、被害も甚大化しています。こうしたことから、市民や事業所との協働によって、二酸化炭素排出量実質ゼロを目指した取組みを進めることで、環境に配慮した「緑に包まれた美しいまち」を目指してまいります。
まず、都市緑化の推進においては、森林についての状況調査を進め、課題や整備の必要性を検討するとともに、無秩序な開発によって美しい自然が損なわれないよう取り組んでまいります。また、市民が緑に包まれながら豊かに暮らせるよう、「緑の基本計画」に基づき、モデルとなる公園を選定しワークショップを開催するなど、市民との連携によって街区公園の再整備を図ってまいります。
次に、地球温暖化対策・循環型社会の構築では、「ゼロカーボンシティ」の宣言を行って以来、市民や事業者など、多様な主体と連携・協働しながら、再生エネルギーの活用や省エネ住宅の普及などに取り組んでまいりました。こうした脱炭素化の取組みを一層進めるため、公共施設にウォーターサーバーを設置し、マイボトルの持参を促進することでペットボトルの使用を減少させ、プラスチックごみとCO2排出量の削減に努めてまいります。
次に、可燃ごみ広域処理施設の建設については、令和7年度末の稼働に向けて10月頃から試運転を開始するほか、国道307号から施設への進入路となる「市道甘南備台1号線」の整備に取り組んでまいります。

第3は、「健康」をキーワードとした取組みであります。
現在、新型コロナウイルスも爆発的な流行がなくなり、重症者も少なくなってきたことで、ようやく日常生活が戻りつつありますが、引き続き感染症対策が必要と考えます。
また、「健やか」と「幸せ」を組み合わせた「健幸」をテーマに、健康寿命の延伸や生活習慣病の発症予防、さらに社会的生活を営むために必要な機能の維持・向上に向けて、市民が自ら関心を持ち、健康につながる取組みができる環境の整備についても進めてまいります。
そして、誰もが住み慣れた地域で健康に安心して暮らし続けることができる「いきいき健康で明るいまち」を目指してまいります。
まず、健康づくりでは、新たに定期接種となる帯状疱疹ワクチンをはじめとする各種予防接種や検診事業の周知と受診率向上に取り組んでまいります。また、日本人の死因の第一位となっているがんについて、医療の進歩により、治療を継続しながら社会生活を送る患者が増加していることから、治療による外見の変化を補うための補整具の購入費用を助成し、治療と社会参加を両立できよう支援してまいります。さらに、介護サービスを受ける際に、他の制度の対象とならなかった若年の末期がん患者へも支援し、住み慣れた自宅で、自分らしく安心して療養生活が送れるよう取り組んでまいります。
次に、地域福祉では、少子・高齢化や生活スタイルの変化に加え、コロナ禍による人と人とのつながりの希薄化等によって地域の担い手不足が進む一方、地域住民が抱える課題は多様化・複合化してきました。こうしたことから、市民や多様な主体が地域の問題や課題を出し合い、「自身の問題」として参画し、互いに支え合い、生きがいをもって暮らせる地域共生社会の実現に向けて、重層的支援体制の一層の充実に取り組んでまいります。また、「地域福祉計画」の改定に向け、アンケート調査や関係団体へのヒアリング調査等を進めてまいります。
次に、高齢者福祉では、高齢者のみの世帯や認知症状がある高齢者が増加しているなか、団塊世代の全員が75歳以上の後期高齢者となり、支援や介護を必要とする高齢者の増加が見込まれます。これらの問題に対応するため、介護サービスを受けることなく、自宅での生活が継続できるよう、日常のなかで取り組めるプログラムをリハビリ専門職のアドバイスを受けながら身につけていただく、短期集中予防サービスを本格的に開始いたします。
また、令和9年度から3年間の高齢者福祉や介護予防、介護保険サービスの目指すべき方向性を示す「高齢者保健福祉計画」の策定に向け、ニーズ調査や事業所へのヒアリング調査等を進めてまいります。
そのほか、高齢者が住み慣れた地域で自分らしく生活できるよう、介護予防等の取組みを推進し、より多くの方の居場所となるよう「大住ふれあいセンター」の設計業務を進めてまいります。
次に、障がい者福祉では、今春オープンする「タナクロ」を障がいのある人の就労に向けた取組み拠点とし、「一般社団法人京田辺みんなの働くプロジェクト」と共同し、訓練から福祉的就労、一般就労と、それぞれに合った就労の場につながる支援や、生活や専門機関・地域社会とのつながりを支援する体制が構築できるような取組みを進めてまいります。
また、「障害者基本計画」「障害福祉計画・障害児福祉計画」について、施策の進捗状況や社会情勢の変化などに合わせた次期計画の策定に向け、障がいのある人や事業所、関係団体等を対象としたアンケート調査やヒアリング調査に取り組んでまいります。

第4は、「文化・教育」をキーワードとした取組みであります。
「こどもまんなか社会」の実現に向けて、「こども計画」の基本理念「みんなで子育て こども☆キラキラ 京田辺 ~こどもの輝きが、すべての市民を結ぶ~」を目指し、こどもが笑顔にあふれ、こどもを生み育てる喜びを実感できる環境を整え、地域で見守られ、こどもが安心して暮らし育つことができるよう取り組んでまいります。
また、こどもたちが、確かな学力を身につけ、個性と能力を伸ばせる多様な教育の推進を通じて、一人ひとりが輝く京田辺っ子の育成に取り組んでまいります。
さらに、市民が生涯にわたって、学びを通じて幸せや生きがいを感じることができる社会づくりに取り組み、「子育てしやすく未来を育む文化薫るまち」を目指してまいります。
まず、こども・子育て環境の整備について、「こども家庭センター」機能を補完するため、誰もが気軽に相談できる地域の身近な相談機関を設置してまいります。これにより、妊産婦や子育て世帯、こどもとの接点をつくり、子育て世帯が抱える不安や悩みの把握に努めるとともに、子育てなどに関する情報提供を行うことで、児童虐待のリスクの高まりを未然に防ぐ取組みを進めてまいります。
大住児童館については、「地域子育て支援センター松井山手」を集約し、北部の子育て支援拠点とするほか、より多くの方に利用いただける施設として「大住ふれあいセンター」をリニューアルするため設計業務を進めてまいります。
そのほか、保護者とともにこどもの成長を確認し、より健やかに育てていくために、乳幼児健診の充実に取り組んでまいります。まず、1か月児を対象に健康診査を実施することで、疾病や異常を早期に発見し、乳児の健康の保持、増進を図ってまいります。5歳児についても、社会性が発達するこの時期に、疾病や異常を早期に発見し、安心して就学を迎えることができるよう、適切な支援につなげるため健診を実施してまいります。
さらには、こどもとの関わり方や子育てに悩みや不安を抱えている家庭を支援するため、こどもへの褒め方や叱り方、関わり方など、具体的で実践的な方法を公認心理師等がアドバイスする「ペアレントトレーニング講座」を開催してまいります。
次に、就学前の取組みでは、全市立幼稚園において弁当給食委託事業を行い、保護者負担の軽減と園児の健全な育成を図るとともに、逼迫する3歳児の保育ニーズにも対応できるよう努めてまいります。また、「市立薪幼稚園」では、こども園化を見据えて送迎用等の駐車場を整備してまいります。
次に、留守家庭児童会について、松井ケ丘留守家庭児童会に民間活力を導入し、職員体制の安定と、延長保育や長期休業中の宅配弁当の実施などサービスの向上を図るほか、他の児童会においても民間活力の導入に向けて取組みを進めてまいります。
次に、教育では、教育大綱の理念を実現するため、「教育振興基本計画」に基づいて、教育を取り巻く社会情勢の変化に対応した総合的かつ計画的な教育施策を推進してまいります。
また、市立学校間で児童生徒数の偏在が次第に顕著になってきていることから、学校教育審議会の答申を踏まえ、引き続き偏在解消に向けた取組みを進めてまいります。さらに、「GIGAスクール構想(第2期)」を見据えて、市立小・中学校の児童生徒が学習に使用するタブレット端末等の更新に取り組んでまいります。
次に、教育施設の環境では、「(仮称)新しい学校づくりプラン」と「学校施設長寿命化計画」について、教室空間の充実や多様な児童生徒に対応する学習空間の確保、健やかな生活空間の実現など、新しい時代の学びを支える学習環境の整備に向けて、一体的に取り組む計画として策定・改定を進めてまいります。また、小・中学校の体育館等について、近年の猛暑による熱中症リスクが高まっていることから、空調設備の設置に取り組んでまいります。
そのほか、生徒がスポーツ・文化芸術活動に継続して親しむ機会の確保と働き方改革を踏まえた教員の負担軽減として、学校の部活動の地域移行を推進するため、令和8年度中に土・日曜日の学校部活動を地域のクラブ活動に移行できるよう、実証事業に取り組む地域クラブ活動に支援を行ってまいります。
次に、文化振興では、「第2期文化振興計画」の策定のほか、市史編さん事業について、引き続き研究者と連携し取り組んでまいります。また、天理山古墳群の整備に向けた取組みでは、古墳整備、砂防、植生等についての専門家の意見を参考に、史跡の保護と活用の観点で必要な調査を進めるとともに、市民ワークショップや現地見学会を開催し、史跡の魅力の周知と整備に向けた機運醸成に取り組んでまいります。
次に、スポーツ振興では、野外活動センターについて、民営施設としての令和8年度リニューアルオープンに向けて、官民協働でリノベーション工事を実施するとともに、施設につながる進入路の補修工事に取り組むなど、施設の充実を図ってまいります。また、「ツアー・オブ・ジャパン京都ステージ」や「全国小学生ハンドボール大会」の開催に加えて、「ワールドマスターズゲームズ2027関西」の開催に向けた準備を進めるなど、スポーツを通じた地域活性化に取り組んでまいります。

第5は、「田園都市」をキーワードとした取組みであります。
本市は、JR片町線、近鉄京都線といった近畿圏の各都市を結ぶ鉄道網、さらに第二京阪道路をはじめとした広域道路網による交通利便性を最大限に生かしつつ、都市計画による規制・誘導によって、自然とのバランスを保ちながら都市化を進め、便利で快適なコンパクトシティの形成に取り組んでまいりました。
また、大学のあるまち、関西文化学術研究都市のまちとして、文化学術研究や時代を先取りした多様な試みが行われる魅力あるまちとして発展を遂げてまいりました。引き続き、本市の特性を生かし、京都府南部におけるヒト・モノの交流拠点となる「活力にみちた便利で快適なまち」を目指してまいります。
まず、市街地整備では、「田辺北土地区画整理事業」が昨年11月に事業認可され、今春から工事が始まり、仮換地指定も行われることから、引き続き支援してまいります。また、複合型公共施設について、建設用地となる保留地の取得を進めるとともに、市民に親しまれる施設として整備するため、基本計画の策定に取り組んでまいります。
新田辺駅東地区についても、中核拠点全体の魅力アップにつながるよう、引き続き関係者との協議を進めてまいります。
次に、道路整備では、「都市計画道路大住草内線」について、今年1月に設立された「山城北部地域道路ネットワーク整備促進協議会」と連携・協働し、整備に向けて、これまで以上に国や京都府に要望活動を展開するとともに、予備設計等に取り組んでまいります。また、北部地域における山手幹線の渋滞対策として、健康ケ丘交差点から大住ケ丘交差点までの4車線化工事に取り組んでまいります。
次に、公共交通では、さらなる利便性向上を図るため、鉄道やタクシーを含めた本市の公共交通全体を活性化できるよう「地域公共交通計画」の策定に取り組んでまいります。また、同志社大学、日産自動車株式会社との連携協定に基づき、「有人モビリティサービスにかかる実証事業」の実施に向けて取組みを進めてまいります。
次に、都市環境の整備では、「空家等対策計画」について、増加が見込まれる空き家に対する対策強化や市の将来人口の維持に向けた活用を図るため、計画全体の見直しに取り組んでまいります。
また、重要なインフラとなる上下水道について、「水道事業・下水道事業経営戦略」に基づき、将来にわたって安全な水を安定的に供給できるように、また快適な暮らしを支える下水道を持続的に使用できるよう、基盤整備をはじめ、施設の耐震化や長寿命化を進めることで、経営基盤の強化に取り組んでまいります。「環境衛生センター緑泉園」については、下水道施設として、効率的な施設運営と敷地の有効活用を図れるよう、施設のコンパクト化に取り組んでまいります。
次に、産業の振興では、中長期的視点による目指すべき産業の方向性など、市産業の姿を示す「産業振興ビジョン」の改定に引き続き取り組んでまいります。
まず、農業においては、「京田辺玉露」「京都田辺茄子」「えびいも」等の特産品振興を図るとともに、京都中央市場等においてPR活動に取り組んでまいります。また、安全で美味しい地元産ヒノヒカリの特別栽培米を子どもたちが味わえるよう、引き続き学校給食に導入することで、地産地消による消費拡大と生産者への支援に取り組んでまいります。
商工業では、市内企業が抱える人材不足という課題に対応するため、関係機関と連携しながら、企業の魅力発信に引き続き取り組むほか、物価高騰等の影響を受ける中小企業が創意工夫を凝らしながら、積極的に取り組む事業を支援することにより、売上げ拡大を図ってまいります。
観光振興では、甘南備山に新たな展望施設等の整備を進めるほか、「大阪・関西万博」の期間中に観光客を呼び込めるよう、本市の魅力やイベント情報の発信に取り組んでまいります。

プラスワンの取組み
以上が、令和7年度に展開する主要施策になりますが、「中期まちづくりプラン」を確実に進めるために、多様な主体との協働の推進や行政運営の質の向上、持続可能な財政構造の構築という視点で、行政改革の取組みを推進してまいります。
まず、多様な主体との協働の推進では、「出張ミライロ」を実施し、まちづくりに積極的に参画する人材の育成に取り組んでまいります。また、市民の国際感覚と多文化共生の意識を醸成するため、「たなフェス」を通じてインドとの交流を深めてまいります。さらに、本市と交流のある都市の市民が、万博開催に合わせ、市内の宿泊施設を利用した場合に一定額を補助するなど、都市間交流への機運醸成と市内経済の活性化に取り組んでまいります。
大学との連携では、市民を対象とするプログラムや、大学が有する豊かな知識・技術・人材を生かした連携プログラムを実施することで、大学が地域にとって身近な存在となるよう取り組んでまいります。
そのほか、広報紙「ほっと京たなべ」の作成に、市民が記者として記事作成に関わることで、市民がまちに愛着を感じていただける広報紙を発行するなど、市民参画型の情報発信と魅力発信に取り組んでまいります。
行政運営の質の向上としては、デジタル技術を活用し、保育所等の入所・入園手続をオンライン化するほか、公共施設のオンライン予約を導入するなど、市民サービスの向上と行政事務の効率化を図ってまいります。

むすびに
以上、令和7年度に進めるまちづくりについて、私の考えを述べさせていただきました。
本市が、今後も成長を続けるためには、将来にわたって、まちの活力を維持できるようバランスのとれた人口構成が必要であり、それぞれの世代のライフステージにおける希望を叶え、多様な主体と連携し、市民が京田辺に愛着をもち、安全・安心・快適に生活ができる魅力的なまちづくりを進めなければなりません。
このため、「中期まちづくりプラン」の重点プロジェクトを中心に、本市の特色を生かした施策をしっかりと展開してまいります。
さらに、地域における人材育成と交流ネットワークの強化を図り、市役所と市民がアイデアを出し合い、一緒になって市政運営に取り組む、誰もが活躍できる活力あるまちを築いてまいります。
そして、こどもたちの笑顔から、市民みんなが元気をもらい、幸せで充実した暮らしができる「明るい京田辺」をつくってまいります。
このことが、私の政策理念「みんなが住み続けたいと思えるまち」と「緑豊かで健康な文化田園都市」という本市の都市像の実現につながるものと考えます。
市議会をはじめ、行政委員や関係諸団体、市民の皆様におかれましては、改めて、ご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げ、令和7年度の施政方針といたします。