Discovery~知の扉を開く~大学教員の研究紹介 No.1(広報ほっと京たなべ 令和5(2023)年6月号掲載)
- [2023年11月20日]
- ID:19891
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市は3つの大学と連携協定を結んでいます。大学をより身近に感じてもらうため、大学教員の研究内容を紹介する連載をスタートします。
国内唯一のコウモリの“見る”を研究(同志社大学 生命医科学部医情報学科 教授 飛龍 志津子さん)
同志社大学 生命医科学部医情報学科 教授 飛龍 志津子さん
どんな研究をしていますか
コウモリの「エコーロケーション」について、研究しています。コウモリは、暗闇でも飛び回り、目の代わりに音を使って周囲を知覚する「エコーロケーション」を行います。口や鼻の孔から超音波を出して、跳ね返ってくる音を聞くことで、物体までの距離や大きさなどの情報を得ています。これを新たな技術開発やアイデアにつなげたいと思っています。
具体的な研究内容は
コウモリの超音波を記録して「どんな状況で、どんな特徴の超音波を発声するのか」を調べています。例えば、仲間と飛行する際は、個々に異なる周波数・音の高さの超音波を使い、互いの音声が混ざらないように工夫していることが分かりました。これらは、ドローンや自動車の行き交う場面のセンシング(センサーを使い数値化した情報を得ること)にも役立つと考えています。センシングは、GPS やテレビのリモコンなど、生活に身近な場面で使われている技術です。
また、コウモリのねぐらを探して捕獲し、研究用として大学内でコウモリを3 種類飼育しています。そのうち1 種類は、京田辺市で捕獲しました。市内では、飛び交うコウモリをよく目にしますが、田んぼや水辺があり餌の虫も豊富なので、コウモリにとっても住みやすい環境ですね。
研究者として、親として、心掛けていることは
野生動物を相手にする実験なので、仮説や過去の知見にこだわらず、「とりあえずやってみよう」という気持ちを大事にしています。研究も子育ても楽しむ気持ちの余裕が必要です。すぐに焦ってイライラしないよう、日ごろから予定を先読みした準備を心掛けています。
2 人の子どもの出産時も、育休を1 年間取得しました。最近の週末は、家族のリクエストディナーを作ったり、でもしんどいときは回転寿司に行ったりして、頑張りすぎないように気を付けています。
研究室のメンバーが、餌(ミールワーム)の飼育からコウモリの世話まで年中無休で交代で行っています。