『個性キラリ☆自分流』第56回　社会福祉法人宇治福祉園　みんなのき三山木こども園　園長　杉本　大洋　さん　「『いのちを大切にする』理念を掲げて」

　趣味はバスケットボールとスノーボードです。

　当法人は、昭和48年に宇治市三室戸で開設されました。創業者である先代理事長が法人を立ち上げた当初、障がい児が通える保育園がほとんど存在しなかったため、障がいの有無に関わらず誰でも通えることを目的とした保育の場を作りました。京田辺市で園を設立する際に、その理念を踏襲し、こども園と児童発達支援事業、そしてニーズの高い留守家庭児童会を併設した3事業を行うことにしました。この「みんなのき三山木こども園」では、「いのちをたいせつにする」という法人の理念のもと、環境を通して行う自由保育を実施しています。

　元々は宇治市にある、きょうだい園で現場の保育教諭として働いていましたが、当施設が開設される際に園長となりました。当時、園長になりたてで右も左も分からないまま、コロナ禍に突入して大変でした。子どもや職員の命を守るための感染症対策を講じながら、どのように子どもの健やかな発達を守るのかを試行錯誤していました。

　また、当園では年齢や障がいの有無に関わらず、すべての子どもを受け入れるインクルーシブ保育を目指しています。しかし、今までそのような経験がある職員が多くないため、その意識の改革を進めているのが現状です。どのような形が良いのか皆で話し合いながら模索しているところです。

　普段は事務作業が多いですが、保育現場に行き、子どもたちが夢中になって遊んでいる姿を見るのが一番好きです。

　6時30分に園の鍵を開けに来て、7時から子どもたちの受け入れを行います。7時50分からはこども園、8時45分からは児童発達支援事業の職員会議及び園内研修があります。その後は事務作業や関係機関との連携をしたり、保育現場に行ったりしています。

　「方向性を示し、具体的な方法を指示しない」ということを心がけています。なぜなら、職員にも「自分にとって当たり前のことが他の人にとっては当たり前ではない」ということを実感し、自分たちでより良いあり方を考える癖をつけてほしいと思っているからです。

　当園は、宇治市に複数ある、きょうだい園や別法人から来た職員がいたり、こども園や児童発達支援事業、留守家庭児童会の職員が混ざり合っています。そのため、それぞれが今までやってきた仕事のやり方や価値観が異なり、意見の食い違いが出ることが多々あります。その際は、今までのやり方を真似するのではなく、それらも踏まえた上で「子どもたちにとってどのような方法（環境）が良いか」を各自が考え、話し合うようにしています。その繰り返しの中で園全体としてより良い方向に進むことを目指しています。

　現在は、地域の方に向けた施設開放やイベントを定期的に行っています。また、今年度は三山木地域まちづくり協議会シルバー部会（※）」の方々にお声がけいただき、ご高齢の方同士や子どもたちとの交流の場を設けることができました。今後は地域の方々同士のつながりを増やし、世代を問わず、人々が集う場になれば嬉しいと思っています。そして子どもたちを中心に多種多様な人々が混ざり、響き合い、幸せが沸きだす、そんな園にしていきたいと思います。

　※三山木地域に住む高齢世帯によって結成され、健康体操や歌、音楽鑑賞、健康講座開催などの活動をしている。

　人それぞれの違いを受け入れ、尊重することの大切さについてお話ししてくれた杉本さん。これからも、誰もが通える地域に根ざしたこども園を目指します。

　ご協力ありがとうございました。