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あしあと

    『個性キラリ☆自分流』第46回 保護司 前川 金春 さん 「犯罪のない社会をめざして」

    • [2022年9月30日]
    • ID:18364

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    前川 金春 さん(保護司) 「犯罪のない社会をめざして」

    前川さん写真


    まえがわ かねはる
    前 川  金 春  さん

    保護司

    ご趣味は

     最近の趣味は、野菜づくりと、パソコンでのネットサーフィンです。元気で長生きするため、小さなことにこだわらず、のんびりゆったり生活することを心がけています。

    保護司の活動内容は

     一つは罪を犯した人の更生保護、これが基本の仕事です。罪を犯すと裁判所で判決が下って、刑務所や少年院に入ります。例えば刑期10年ですと、7年で仮釈放となった場合、残りの3年が保護観察となります。罪を犯した人でもできるだけ社会生活を取り入れてなじませる、そして再び罪を犯さないように保護司が指導・支援するというのが国の考え方で、世界でも希なシステムです。甘いと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、更生保護というのは、実際、再犯防止の上で大きな力になっていると思います。そういう意味では、保護司の仕事というのは、社会における縁の下の力持ちではないでしょうか。

     保護観察は、例として、月2回、対象者が保護司宅に行って1時間の面接を行います(来訪)。そして6か月に1回、今度は保護司が身元引受人の所に行って、身元引受人も含めた3人で面接をします(往訪)。ここで、本人が嘘を言っていればわかるので、確認の意味もあります。基本的には生活環境を聞いて、時にはハローワークへ一緒に行って仕事を探したりもします。

     もう一つは、犯罪予防活動です。7月に実施する「社会を明るくする運動」が代表例で、更生保護について地域のみなさんに知っていただくための啓発活動などをします。

    保護司になったきっかけは

     保護司だった父が亡くなった後、綴喜地区保護司会の会長に要請されたことがきっかけです。その時私は47歳で、保護司とはまったく関連のないマーケティングリサーチの仕事をしていましたが、ある程度、保護司という制度の理解はしていましたので、研修を受けて、面接を土・日曜日や夜にするようにすれば自分にもできるだろうと考えて、引き受けました。10年間ほどは、会社勤めと両立してやっていました。

     保護司は法務大臣から委嘱を受けた非常勤の国家公務員という身分で、交通費などの活動経費は支給されますが、無給、つまりボランティアです。新しく保護司になっていただく方は、私たち保護司会がお願いできる方を探してきて法務省に推薦し、選考を経た上で、任命してもらいます。同じ職業の方や知り合いばかりでなく、できるだけ広く、いろいろな方にバランス良く入っていただくのが望ましいと考えています。

    周りの方の反応は

     私が保護司になった当時は、保護司であることを秘匿するのが一般的でした。対象者の秘密を守るためです。ですから、家族以外の人にはあまり言っていませんでした。現在は保護司であることを公にしても良いこととなっています。

     自宅に面接に来てもらうわけですから、家族の理解はとても大事です。夫が保護司ならば妻が、妻が保護司ならば夫が、面接の時にお茶を出すのが当然ですし、小さな子どもがいれば面接の時はあまりバタバタしないよう配慮するなど、家族の協力が必要です。

    保護司として活動していてよかったことは

     対象者の少女が、最後の面接日に、面接時間の1時間が過ぎてもなかなか帰らず、3時間くらいいてとうとう泣き出し、「もう二度と悪いことはしません、しません、しません」と言った時です。保護司冥利に尽きます。

     担当を持つ時、最初に書類をよく読んで、この子はなぜ悪いことをしたのだろうと考えます。犯罪の原因を突き止められないケースもありますが、家庭環境が悪い、居場所がないということは一つの大きな原因です。この少女も自分の居場所がありませんでした。だから、私の家がちょっとした仮の居場所だったのでしょう。

     今は時代の流れで、更生保護サポートセンターで面接をすることもできますが、特に少年少女の場合は、できるだけ保護司の家庭で面接することが重要だと思います。保護司を通じて、家庭のぬくもりを感じたり、学ぶこともあるのではないかというのが私の考えです。

    活動の中で苦労されたことは

     対象者が約束した面接日に来ないときは困ります。大人はめったにそのようなことはありませんが、少年だと3か月めくらいから電話もかかってこなくて、こちらから電話してもなかなかつながらないというような場合もあります。

     もう一つは、対象者の身元引受人宅への訪問です。対象者の情報の慎重な取扱いが求められ、近所の方に知られないように訪問しなければならないため、大変気を遣います。しかし、身元引受人の家で面接をするというのは、大変よく考えられた制度だと思います。やはり、訪問すれば大体のことがわかります。見た目が立派な家でも、家庭の中身はガタガタで愛情も何もないというようなことは、実際に行けばすぐにわかります。

     更生保護というのは、保護司や法務省だけでなく、地域で取り組むべき問題だと思っています。地域に何かをしてもらうというのはなかなか難しいことですが、綴喜地区で、保護観察の対象者数がこの30年間で3分の1に減っているのは大きな成果です。

     犯罪が減ったのはもちろん社会にとって良いことですが、保護司が経験を積む機会が少なくなっていて、やはり研修だけ受けていても実際に担当を持たないとわからない部分が多いですので、そこはジレンマに感じています。新しくなってもらった保護司がケースを担当しないまま、数年で辞めていかれる場合もあります。犯罪をなくすために保護司制度があるのですが、保護司育成のためにはケースを担当させなければならない。そういう矛盾があります。

    長年続けてきた理由は

     対象者との面接などを通じて、教えられることが多かったからです。他人を深く知ることを通じて、自分のことも深く考えることになり、勉強になることが多いです。長く続けていても、また違う方と関われば勉強になります。仕事ではそのような感覚を持ったことはありません。自分の人生にとってプラスになっているから、続けてきたのだと思います。人間は損得だけではないでしょうが、やはりメリットがないと続けられないのではないでしょうか。保護司は長く続けておられる方も多いです。

     昨年、叙勲をいただきました。3代にわたって保護司を務めてきましたので、顔も知らないおじいさんと、父のためにも、もらってあげなければと思いました。お墓の中で喜んでくれていると思います。

    今後の目標は

     保護司の任期は2年ごとの更新で、76歳以降は更新できないこととなっていましたが、令和3年4月から、再任時の年齢制限に特例規定が新設されました。私の場合、再来年の10月末で任期満了の予定でしたが、再任を希望すれば特例再任保護司として活動を続けることができますので、手続きをするつもりです。

    インタビューを通じて・・・

     長年にわたり、罪を犯した人の更生を助け、社会をより良くするため貢献してこられた 前川さん。「自分の人生にとってプラスだったから続けてきた」と話す謙虚な姿勢に、頭が下がる思いがしました。


     ご協力ありがとうございました。

    お問い合わせ

    京田辺市役所市民部人権啓発推進課

    電話: (人権啓発)0774-64-1336、0774-62-4343(男女共同参画)0774-64-1336

    ファックス: 0774-64-1305

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