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あしあと

    『個性キラリ☆自分流』第42回 茶人、遠州流茶道師範、日本茶インストラクター ティアス 宗筅 さん 「日本茶の魅力を世界へ」

    • [2021年12月1日]
    • ID:16924

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    ティアス 宗筅 さん(茶人、遠州流茶道師範、日本茶インストラクター) 「日本茶の魅力を世界へ」


         そうせん
    ティアス 宗 筅 さん

    茶人
    遠州流茶道師範
    日本茶インストラクター

    ご趣味は

     ずっと趣味はお茶だけでしたが、最近、お茶室の中から自然との関係を考えるだけではなく、外の自然の中で自然との関係を感じることも大事なのではないかと思うようになりました。週末に休みが取れれば、家族でバーベキューやキャンプに出かけています。

    お茶との出会い、京田辺市へ来られたきっかけは

     母国ベルギーで剣道を通じて日本文化に興味を持ち、ルーヴェン大学の日本学科に進んで日本に留学した後、関西大学に進みました。日本文化をより理解するため、空手、杖道、能楽などさまざまなことをやってみた中で、茶道が日本の文化を知る一番の近道なのではないかと思いました。掛軸やお花、器、建築、庭のことも知ることができます。それで茶道を集中して勉強するようになりました。

     大学卒業後は別の仕事をしていましたが、どんどん茶道に熱心になり、宇治の有名な茶舗に転職しました。そこでは売り場と茶道体験の担当を経験し、後に取得した日本茶インストラクターと遠州流茶道師範の資格も大変役立ちました。

     初めは大阪に住んでいたのですが、京田辺市は大阪と奈良と京都のちょうど真ん中にあるまちだから京都や奈良へもアプローチしやすいし、茶畑もあるし、すごくよい所だなと思って引っ越してきました。

    どのような活動をされていますか

     茶舗に勤めていた時、海外のお客様から、有機栽培のお茶はないかとよく聞かれていました。上司に聞いてみたら、「有機でお茶などできない、美味しくない」と言われましたが、休みのたびに茶畑に行ってお茶の知識を深めていた中で、有機茶をつくっている農家さんと出会いました。私はそのお茶を美味しくないとは思わず、むしろ好きだと感じました。昔は全部有機だったけれども、機械化が進んで化学的なものが使われるようになって、お茶の味が変わってきたのだそうです。今一般的になっているお茶は元々のお茶の味ではなくて、それは有機ではつくれないということでした。そういった話を農家さんたちから聴くうち、ますます興味を持ち、海外の人も有機茶を求めているので、自分でやるしかないと思いました。それで退職して、7年前から「茶ノ実鶴園」を始めました。

     自宅を拠点に、オンラインでの海外向けの販売と、観光客向けの英語での茶道体験を主にしていましたが、去年はコロナ禍で海外への発送も茶道体験もできなくなりました。国内に目を向けたほうがよいのではと考えていたところ、縁あって京都御所の西にお店をオープンすることができました。

     今力を入れているのはそのお店とオンラインショップ、それからオンラインで5か国の方に茶道を教えています。また、今年の夏に、茶道の基本を学べるビデオコースを作りました。動画を観て6週間で御点前を一通りお稽古してもらうのですが、世界各国で24人の方が学ばれてよい反応をいただいているので、これをもっと紹介していきたいです。

    これまでの活動の中で苦労されたことは

     私は、他の畑の茶葉とブレンドされていない、単一の畑で種子から育てられた有機茶にこだわっています。ヨーロッパにおいて、ワインではテロワールを重要視します。テロワールとはその土地の特徴のことで、毎年気候が変わることによってその年のワインも変わります。私はそれをお茶にも当てはめていますが、日本茶に関して同じ畑で年代の違いを楽しむという人は、そう多くはありません。また、私がやっている茶道体験も、本格的なことも全部伝えるという内容になっていて、少し体験してみたいという人には向きません。

     たくさんの人に広めるということは十分にいろいろな方がやっているので、私はむしろそれはやらなくてよいと考えています。ただ、ビジネスとして、自分がやりたいことと消費者が求めることとのバランスをどう取るかが難しく、そういう面では常に苦労しています。

    活動されていてよかったことは

     お客さんも増えて、よりたくさんの種類のお茶を扱うことができるようになり、お店を開くこともできましたし、オンラインでお茶を教えるのも確実に伸びていると感じています。

     この店も、それまでは店を持ちたいと思ったことがなく、家具もアイデアも何もない状態から2か月弱でオープンしたのですが、一から企画して考えてやると、たぶんその期間ではできなかったと思います。だから、こうなるべきだったんだなというのは思います。

     私は、現状をはっきりと把握して、いま自分ができることをしっかりとやっていれば、何か新しいことが必ず生まれてくると思っています。計画して何かこの形をつくりたいとそれに向けて頑張っていたら、私の場合、途中でやめてしまうか、うまく行かずにやめざるを得なくなることが多いです。何も計画しないでただやることをしっかりやれば、何か面白いものが生まれてくる。それなら、そのほうがよいと私は思っています。失敗だというのは、自分の思い描いたその形にはならなかったということであって、どの形も思い描かないと、どんな形になっても成功なんです。

    妻やお子さんとの関わり方は

     私にとっての仕事は単なる収入源ではなく、ライフスタイルであり、ミッションです。妻のサポートのおかげで仕事に没頭することができているので、とても感謝しています。

     家庭内では日本語でコミュニケーションをとっています。私は家事・育児のことはあまり分かっておらず、妻も私の仕事のことはあまり理解できていないと思いますが、お互いに悩みを聴き合って、なるべく一緒に考えるようにしています。私は月曜日が休みで、その日は妻と買い物をしたりランチを一緒にすることもあります。子どもが帰ってきたら近場に出かけたり、一緒に公園で遊んだりしますが、最近は月曜日でも午後は仕事の対応があったりして、なかなか時間が取れていません。

     子どもたちには、自分で判断ができて、主体的に生きることができる人に育ってほしいです。子どもがやりたいことをサポートして、いろんなことを経験してもらうのが私たち親の役割かなと思います。自分で感じて何かやりたいことを見つけてもらうには時間もエネルギーもかかるので、もっと家族と時間を過ごしたいと、毎日思っています。

    今後の目標は

     茶道と有機茶を通じて、人間としてのあるべき姿、また他の人との共存のしかた等、たくさんのことを学ばせてもらえます。今は人間が自然から遠ざかりすぎていますが、お軸を読んだりお花を生けることを通じて、茶道から今の季節のことが学べます。そういう人間として重要な知識と感覚をより多くの人に持ってもらえるように、美味しいお茶と楽しいお茶会をもっと広めていきたいと思っています。今はオンラインですが、いずれはライブでそういう場をつくりたいです。

    インタビューを通じて・・・

     一つひとつ言葉を丁寧に選びながら、有機茶へのこだわりを熱く語ってくださったティアスさん。その強い思いと行動力で、今後も新しい世界を切り拓いていかれることでしょう。


     ご協力ありがとうございました。

    お問い合わせ

    京田辺市役所市民部人権啓発推進課

    電話: (人権啓発)0774-64-1336、0774-62-4343(男女共同参画)0774-64-1336

    ファックス: 0774-64-1305

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