『個性キラリ☆自分流』第39回～中華料理研究家として活躍する男性～　中華料理研究家　棚田　浩彰さん　「主夫として家族に美味しい料理を作る」

　趣味と実益を兼ね、料理と農作業をしています。

　米と野菜を作っており、基本的には家族の分ですが、たくさん採れたら、必要とされている方の自宅に配達したり、自然食品のお店に時々卸したりしています。軌道に乗れたらいいのですが、まだ収穫量が安定していないので、これからの課題だと思っています。

　12年ほどやっていた中華料理店を畳んだ後、2人の息子が幼く、夫婦どちらかが面倒をみないといけなかったこと、妻に安定した収入があったこと等の理由から、私が専業主夫として家庭に入ることになりました。私も妻も、「男性が外で働いて、女性が家庭に入る」という考えはまったくなく、「それぞれ特性があるので、得意なことを得意な人がやったらいい」という考えだったので、そういう形になりました。幼稚園の送迎が自分以外ほとんど女性だったので、なんとなくの違和感や疎外感はありましたが、専業主夫として家庭に入ったことについて、周囲から悪く言われる等、気になることは特にありませんでした。

　料理教室で教えるようになったのは、専業主夫になって2年ほど経ってからでした。教室の市の担当者から声をかけていただいたことがきっかけです。現在は、京田辺市や井手町の料理教室のほか、さまざまな教室やサークル等で教えています。声をかけてもらったら、できる範囲（得意なこと）で応えたいなという気持ちがあったので、料理研究家を志したというのではなく、偶然、縁があったのだと思います。自分自身は肩書きが中華料理研究家という風には特に思っていません。

　朝食を作って、妻と息子を駅まで車で送っています。午前中は家事をして、昼から夕方までは農作業をします。帰宅後の夕飯作りでは、レシピの試作を兼ねるので、時間がかかります。大変だと思うこともありますが、それが日常になっています。店をしていたときも同じように、明日の日替わりランチや毎月のおすすめのメニューを考えていたので、主夫になったことに対して違和感はありませんでした。

　良かったことは、生徒さんに作ってみて美味しいと言ってもらえることです。また、私が作った料理を食べた家族が喜んでくれるのが何よりも嬉しいです。

　もともと料理人だったので、教えることが得意ではありませんでした。当初は、教室に材料を持って行き、一から始めていたので、とても時間がかかりました。生徒として別の料理教室に勉強に行かせてもらったり、手伝いに行かせてもらったりする中で、ある程度、準備してからやるとスムーズにいくと気付き、今では随分スムーズに教えることができるようになりました。

　料理教室で出すレシピは、最低でも2，3回は試作をし、味をみて、そのときの一番を作るようにしています。1回で良いときもあるのですが、分量ややり方を見直すようにしています。過去のレシピでも、以前はそのやり方で良くても、今やってみると何か違うと思うこともあるので、また改めて調整してやるようにしています。

　ほとんど料理をしたことがない人に教えたいです。料理教室の生徒さんは料理に興味がある人が多いです。初心者向けと募集していたとしても、年配の女性で料理をよく知っている方が来られます。たとえば、定年退職をして家でゴロゴロしているお父さんや下宿している大学生に簡単にできる料理を教える機会があったら、やってみたいと思っています。

　性別による固定的な役割分担が今よりも強かった頃に専業主夫になられた棚田さん。「男だから」にとらわれず、自分らしさを大切にすることが、男性が家庭生活に参画するきっかけになるはずです。

　ご協力ありがとうございました。