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あしあと

    明治時代の鉄道時刻表

    • [2020年6月15日]
    • ID:14960

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     京田辺市史編さんの一環として、IT市史に取り組んでおり、京田辺の歴史や文化などをインターネット上で紹介しています。ここでは、京田辺市が所蔵している関西鉄道株式会社の列車発着時刻及賃金表について紹介します。

    京田辺の鉄道の始まり

     日本の鉄道は、明治5年(1872)に新橋―横浜間の開通に始まり、明治20年代には私設鉄道ブームが到来し、多くの路線が開通しました。山城地方南部では、明治26年に田辺村で城河鉄道株式会社が創設され、四條畷―新木津間(現JR学研都市線)の鉄道敷設が計画されました。明治30年、関西鉄道株式会社は、片町―四条畷間を運行していた浪速鉄道株式会社を合併し、同年に城河鉄道株式会社も合併しました。明治31年、関西鉄道株式会社によって、四條畷―新木津間が開通され、田辺駅(現JR京田辺駅)が開設されました。 そして同年11月に新木津―加茂間が開通し、片町―名古屋間を鉄道で移動することができるようになりました。その後、明治39年に鉄道国有法が成立すると、明治40年に関西鉄道株式会社の所有する鉄道も国有化されました。

    明治31年6月改正の時刻表を参考に作成した路線図
    (片町―新木津)

    明治31年の片町、新木津(木津)間の列車発着時刻及賃金表
    (京田辺市蔵)

    明治31年の関西鉄道時刻表

     本資料は、明治31年の「片町、新木津(木津)間の列車発着時刻及賃金表」です。上り・下り列車ごとに各駅の発着時刻と片町からの賃金が記されています。掲載されている駅は、片町・放出・徳庵・住道・四条畷・星田・津田・長尾・田辺・祝園・新木津です。

     注意書きに乗り換え案内があり、木津駅から奈良鉄道を使って、12分で奈良駅まで行くことができる便があること、新木津(木津)駅から加茂駅まで、陸路で一里半(約6キロメートル)離れており、人力車と河船の便があること、加茂駅から毎日8回、名古屋行きと山田行き(現伊勢市駅)の汽車があることが記されています。明治31年、新木津駅と木津駅(奈良鉄道)は600メートルほど離れた連絡駅でしたが、同年9月に関西鉄道の新木津―木津間が開通しました。

    片町、新木津(木津)間列車発着時刻及賃金表

    片町―田辺間の移動

     明治31年の時刻および賃金表を参考に、現在の区間と移動時間を比較すると、片町―田辺間はおよそ2倍速く移動できるようになりました。なお、片町駅は平成9年に廃止されているため、旧片町駅の近くにあるJR京橋駅の時刻表(普通・木津行き)を参考にしました。

      片町駅 午前6時発 → 田辺駅 午前7時45分着 所要時間1時間45分/31銭

      京橋駅 午前6時11分発 →京田辺駅 午前6時57分着 所要時間46分/590円

    汽車の思い出

     まだ片町線を汽車が走っていたころ、何度も汽車に乗りました。戦後の食糧難の頃には、田辺駅から汽車に乗って津田駅まで行き、津田駅近くにあったパン工場で、家で収穫した小麦とパンを交換してもらったことを覚えています。石炭を燃やして走っていたので、窓を開けていると煙が車内に入ってきて、鼻の穴の中が真っ黒になったものです。
     修学旅行など行事ごとで遠出する時にも、汽車を使いました。トンネルに入るたびに、先生が窓を閉めるように言って回っていたのを覚えています。窓を開けたままだと、煤煙が車内に入ってきて、顔が真っ黒になってしまうからです。
     私の家は線路から500メートルくらい離れていたのですが、汽笛の音がよく聞こえました。畑仕事をする大人たちは、汽笛の音で大体の時刻を感じていたように思います。子どもの頃には、友達と一緒に走って汽車を追いかけて遊んだものです。汽車もずっと遅かったですし、走って追いかけながら手を振ると、機関士さんは手を振り返してくれました。
     今となっては懐かしい思い出です。

     京田辺市薪区住民(80代・女性)

     昭和46年、国鉄田辺駅に停車している蒸気機関車(京田辺市蔵)

     このように、明治時代には鉄道の敷設が進められ、田辺から大阪・奈良・名古屋・山田方面へ汽車で移動することができるようになりました。その後、鉄道名や駅名が移り変わりましたが、地元の人々にとって大切な交通手段であることは、今も昔も変わらないと言えます。

    参考文献

    (1)田辺郷土史会編(1968)『京都府田辺町史』
    (2)田辺町近代誌編さん委員会編(1987)『田辺町近代誌』

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    京田辺市役所市民部市史編さん室

    電話: 0774-64-1301

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