○京田辺市救急規程
平成25年2月15日
訓令第4号
(目的)
第1条 この訓令は、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)その他の法令の規定に基づき、救急業務の適正かつ円滑な運営について必要な事項を定め、市民の生命及び身体の保護に資することを目的とする。
(1) 救急業務 法第2条第9項に規定する救急業務をいう。
(2) 救急事故 法及び消防法施行令(昭和36年政令第37号)に定める救急業務の対象となる事故で、別表に掲げるものをいう。
(3) 救急救命士 救急救命士法(平成3年法律第36号。以下「救命士法」という。)第2条第2項に規定する者をいう。
(4) 医療機関 医療法(昭和23年法律第205号)第1条の5に規定する病院及び診療所をいう。
(5) 救急資器材 救急活動、応急手当普及業務、救急訓練等を行うために必要な資器材をいう。
(6) 転院搬送 現に収容されている傷病者を当該医療機関から他の医療機関へ搬送することをいう。
(救急責任)
第3条 消防長は、救急事故の実態を把握し、これに対応する救急体制の確立を図り、救急業務を適正に遂行するために必要な対策を講じるものとする。
2 消防署長(以下「署長」という。)は、管轄の救急隊が出動した救急事故の実態を把握し、救急業務の執行体制の確立を図るとともに、その円滑な遂行に努めるものとする。
(医療機関等との連携)
第4条 消防長及び署長は、医療機関その他の救急業務等に関係のある機関及び団体と常に密接な連携を図るものとする。
(救急隊の編成)
第5条 署長は、救急救命士及び救急隊員の行う応急処置等の基準(昭和53年消防庁告示第2号)第5条第2項に規定する者をもって救急隊を編成するものとする。
2 署長は、救急隊の編成に関して救急救命士を常時乗務させるものとする。ただし、救急出動の重複、災害対応等により、救急救命士の速やかな人員確保が困難と署長が認めた場合は、この限りでない。
3 救急隊は、隊長、運転員及び隊員の3名以上(以下「救急隊員」という。)をもって編成するものとする。
(救急救命士の人員配置)
第5条の2 署長は、組織体制に基づく救急救命士の人員配置に関して、必要な対策を講じるとともに、救急救命士の養成計画を立てるものとする。
(救急隊員の責務)
第6条 救急隊員は、常に救急業務に関する法令の規定及び次に掲げる事項を遵守しなければならない。
(1) 救急業務の遂行に必要な知識及び技術の習得に努めること。
(2) 救急業務の実施に際しては、懇切丁寧を旨とし、傷病者に不快の念を抱かせることのないよう接遇に留意すること。
(3) 救急業務上、知り得た秘密を他に漏らさないこと。
(訓練管理)
第7条 署長は、救急隊員の技能の維持及び向上を図るための訓練(以下「救急訓練」という)の指針を示すものとする。
2 消防署の課長及び消防分署長(以下「所属長」という。)は、前項に規定する指針に基づき、所属する救急隊員の訓練計画を作成するものとする。
3 京都府高度救急業務推進協議会により認定を受けた指導的立場の救急救命士(以下「指導救命士」という。)は、前項の訓練計画についての助言並びに京田辺市指導救命士運用要綱に準じた訓練等の企画及び運営を行うものとする。
(救急訓練)
第8条 救急訓練は、京田辺市救急教育指針に即して実施するものとし、訓練の主たる区分は、次に掲げるとおりとする。
(1) 救急小隊対象訓練 個人の手技の習熟及び救急隊員相互の連携基礎構築を図るための訓練
(2) 救急救命士対象訓練 救急救命士として必要な知識及び活動要領の向上を図るための訓練
(3) 複数隊連携訓練 複数の救急隊、消防隊等との連携を要する集団救急事故等の対応力向上を図るための訓練
(訓練効果の確認)
第9条 署長は、前条に規定する救急訓練の効果を年に1回以上確認し、救急隊員の技能の維持及び向上に必要な措置を講じるものとする。
(救急活動の原則)
第10条 救急活動は、傷病者の救命及び症状の悪化の防止に努め、傷病者の症状に適応した医療機関を選別し、必要な処置を実施しながら速やかに搬送することを原則とする。
2 傷病者が複数ある場合は、救急隊員の判断により治療の優先順位が高い者から搬送するものとする。
3 傷病者又はその家族等が希望する医療機関への搬送依頼があったときは、傷病者の症状、救急業務上の支障の有無等を判断した上で、救急搬送依頼書(別記様式第1号)に必要事項の記入を徴し、搬送することができるものとする。ただし、諸般の事情により記入を徴することができないときは、その理由を別に定める救急現場活動報告書に記録することで、これに代えることができる。
(口頭指導)
第11条 通信指令室及び救急隊員は、救急要請時又は現場出動途上において、救急現場付近にある者に電話等により応急手当の協力を要請し、その方法を指導するよう努めるものとする。
2 口頭指導は、京田辺市119番口頭指導マニュアルに基づき行うものとする。
(増援要請等)
第12条 救急隊員は、救急現場の状況により当該救急隊のみでの活動が困難と判断した場合には、隊の種類及び必要数を明確にし、通信指令室に増援要請を行うものとする。
2 増援要請により出動した消防隊等は、救急活動の支援を行うものとする。
3 集団救急事故に対する救急業務については、別に定める集団救急事故活動計画により対処するものとする。
(市民等の協力要請等)
第13条 救急事故現場に出動した救急隊員は、救急活動上緊急の必要があると認めるときに限り、法第35条の10の規定に基づく市民等の協力を得ることができるものとする。
(観察)
第14条 救急隊員は、救急処置等の判断に資するために傷病者の周囲の状況、救急事故形態及び傷病者の状態を把握するものとする。
(応急処置)
第15条 救急隊員は、傷病者の状態その他の状況から、傷病者が医師の管理下に置かれるまでの間において、生命が危険である場合又はその症状が悪化するおそれがあると認める場合に必要な応急処置を行うものとする。
2 傷病者が医師の管理下にある場合において、当該医師の指示があるときは、その指示に従い応急処置を行うものとする。
(医師等による指示)
第16条 救急救命士である救急隊員が救命士法第44条第1項に規定する救急救命処置(以下「特定行為」という。)を実施する際は、京都救命指示センターに常駐する医師の具体的な指示を求めなければならない。ただし、山城北メディカルコントロール協議会で定められたプロトコールに準じた環境下での特定行為の実施については、この限りでない。
(医療機関への引継ぎ)
第17条 救急隊員は、傷病者を医療機関へ収容したときは、当該医療機関の医師に対し、救急活動中に知り得た傷病者情報を引き継ぐものとする。
(転院搬送)
第18条 転院搬送は、当該医療機関において処置が困難であり、他の専門病院等に搬送する必要があり、かつ、他に適当な搬送手段がない場合に行うものとする。
2 転院搬送は、搬送医療機関が確保され、医師又は看護師の同乗が得られる場合に行うものとする。ただし、医師が症状を管理する必要が無いと認めた場合は、この限りでない。
(搬送制限)
第19条 傷病者が、次に該当する場合は、当該傷病者を搬送しないものとする。
(1) 明らかに死亡している場合
(2) 医師が死亡していると診断した場合
(3) 傷病者又はその家族が搬送を拒否した場合
(感染症患者等の取扱い)
第20条 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)第6条第2項に規定する一類感染症、同条第3項に規定する二類感染症、同条第8項に規定する指定感染症の一部又は同条第9項に規定する新感染症の患者である場合は、原則として、これを搬送しないものとする。
2 救急隊員は、一類感染症、二類感染症又は新感染症と疑われる傷病者を搬送した場合は、救急隊員及び救急車の汚染に留意し、直ちに所定の消毒を行い、この旨を消防長に報告するものとする。この場合において、一類感染症、二類感染症又は新感染症の患者と判明したときは、速やかに医師又は保健所の指示による適切な処置を講ずるものとする。
3 救急隊員は、必要な救急資器材を活用して感染防止の徹底を図るものとする。
(要保護者等の取扱い)
第21条 救急隊員は、行旅病人及行旅死亡人取扱法(明治32年法律第93号)第1条第1項に規定する行旅病人及び生活保護法(昭和25年法律第144号)第6条第2項に規定する要保護者を医療機関又はその他の場所に搬送したときは、福祉事業に係る関係行政機関に連絡するものとする。
(関係者の同乗)
第22条 救急隊員は、傷病者を搬送するに当たって、傷病者の家族その他の関係者が同乗を求めたときは、これに応じることができるものとする。ただし、応急処置等の実施又は安全管理上支障があるときは、この限りでない。
(保健所等との連携)
第23条 救急隊員は、傷病者の状態その他の状況から保健所又は警察との連携が必要であると認めるときは、必要な措置を講じるものとする。
(感染性廃棄物の処理)
第24条 署長は、救急活動により生じた感染性廃棄物の処理方法について整備するものとする。
(救急活動の記録)
第25条 救急隊員は、救急事故に出動した際は別に定める救急現場活動報告書にその概要を記録し、署長に報告するものとする。
(救急速報)
第26条 署長は、救急隊が出動した救急事故が京田辺市救急活動要領第25条に定める事項に該当するときは、消防長に速報しなければならない。
(事後検証)
第27条 署長は、救急活動に対する事後の検証を行うものとする。
2 指導救命士は、前項に規定する事後の検証に基づき、京田辺市救急教育指針に即して、事後検証に係る研修会等の企画及び運営を実施するものとする。
(応急手当の普及啓発の推進)
第29条 消防長及び署長は、市民の自主救護能力の向上を図るとともに、市民に対し応急手当に関する知識及び技術、救急車の適正利用等の普及啓発活動(以下「普及啓発業務」という。)を推進するものとする。
(普及啓発業務の推進計画)
第30条 署長は、普及啓発業務の推進計画を作成するものとする。
2 所属長は、前項に規定する推進計画に基づき、所属における普及啓発業務の推進計画を作成するものとする。
(委任)
第31条 この訓令に定めるもののほか、必要な事項は、別に定める。
附則
この訓令は、平成25年2月15日から施行する。
附則(令和2年11月26日訓令第13号)
この訓令は、令和2年12月1日から施行する。
附則(令和4年7月1日訓令第7号)
この訓令は、令和4年7月1日から施行する。
別表(第2条関係)
救急事故
区分 | 種別 | 対象 |
不慮の事故 | 火災事故 | 火災現場において直接火災に起因して生じた事故をいう。 |
自然災害事故 | 暴風、豪雪、豪雨、洪水、高潮、地震、津波、噴火、雪崩、地すべりその他異常な自然現象に起因する災害による事故をいう。 | |
水難事故 | 水泳中(運動競技によるものを除く。)又は水中転落等による事故をいう。 | |
交通事故 | 全ての交通機関相互の衝突及び接触又は単一事故若しくは交通機関が歩行者等と接触したことなどによる事故をいう。 | |
労働災害事故 | 各種工場、事業所、作業所、工事現場等において就業中発生した事故をいう。 | |
運動競技事故 | 運動競技の実施中に発生した事故で、直接運動競技を実施している者及び競技関係者等の事故又は観覧中の者が直接に運動競技用具によって負傷したものをいう。ただし、競技場内の混乱による事故等は含まない。 | |
一般負傷 | 他に分類されない不慮の事故をいう。 | |
故意の事故 | 加害 | 故意に他人によって傷害等を加えられた事故をいう。 |
自損 | 故意に自分自身に傷害等を加えた事故をいう。 | |
疾病 | 急病 | 疾病によるもので、救急業務として行ったものをいう。 |
その他 | 転院搬送、医師・看護師等の搬送、救急資器材・医薬品等の輸送によるもの その他(上記種別に分類不能なもの及び誤報、いたずら等で救急事故等の不明なもの) |