健康コラム(8)ご存じですか?【骨粗しょう症】
- [2015年4月10日]
- ID:9770
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今回は骨粗しょう症についてのお話です。
骨粗しょう症とは、骨密度の低下と骨質の劣化により骨強度が低下することで、骨折のリスクが増大しやすくなる骨格疾患です。
骨粗しょう症になると、背中がまがる、身長が縮む、背中や腰が痛むといった症状だけでなく、
骨がもろくなることから背骨が体重を支えきれずにつぶれてしまい、圧迫骨折を起こしやすくなります。
また、転倒した拍子に手をついたり、おしりを打ったりすることから、転倒時には手首や肩、太ももの付け根の骨を骨折しやすくなります。
特に高齢になると、骨折から長期入院となり、寝たきりやさらには認知症など介護が必要な状態になることが少なくありません。
実際に介護が必要になった原因の約1割が骨折・転倒によるものです。
骨粗しょう症は女性の方がなりやすい!?
骨量は思春期に急速に増え、性成熟期になると骨量は人生のうちでピークに達して40歳代ぐらいまで維持されます。
その後男女ともに骨量は減少しますが、女性は閉経を迎えることで、骨の減少を抑えるエストロゲンというホルモンの分泌が減ってしまうため急速に骨量が減ってしまいます。
また、最近では、若い世代に「やせ」の傾向が強く、無理なダイエットによりカルシウムを十分にためることができず、早い時期での骨粗しょう症の発症が心配されています。
閉経を迎えられた女性は特に、年に一度は骨量チェックをしましょう!
骨密度の測定
骨密度とは、骨の強さを判定するための尺度の一つです。その測定法には次のものがあります。
【 DXA(デキサ)法 】
二種類の異なるエネルギーのX線を当て、そのデータをコンピュータで処理して骨量を測定する方法です。
全身のどの部位の骨でも測定ができるため、精密な骨量検査に広く用いられています。
【 超音波法 】
かかとやすねの骨に超音波を当て、その伝わり方によって骨量を測定します。
スクリーニング(異常があるかどうかのふるいわけ)として使用されることが多い測定法になります。
市で実施している「骨粗しょう症予防教室」や「転倒無(む)し教室」ではこの方法で骨密度を測定しています。
☆各教室の詳細は毎年4月に全戸配布しています「各種検(健)診と相談事業のお知らせ」をご覧ください。
【 p-QCT法 】
小型のX線CT装置を使って手首の骨などを撮影し、X線の吸収率をコンピュータで計測し、骨量を測定します。
骨の硬い部分と海綿状部分(スポンジ状の部分)とを分けて計測ができるため、診断に役立つデータが得られます。
骨粗しょう症を予防する!
< 運 動 >
骨量アップには骨に適度な圧力をかける運動が必要です。運動はカルシウムの沈着を助け、骨を強く保ちます。
また、運動することで筋力やバランス力などを養うことができ、転倒を防ぐためにも非常に役に立ちます。
骨を強くするために運動は大切ですが、運動習慣のない人が急に運動をすると、骨折などのけがや事故を起こす危険があります。
そのため激しい運動をたまに行うよりも、ウォーキングなど自分のペースで毎日継続できる適度な運動が効果的です。
☆運動については過去の健康コラムでも取り上げていますので是非チェックしてみてください!
< 食 事 >
➀ 意識してカルシウムを取りましょう!
骨を強くするためには、骨の材料となるカルシウムの摂取は欠かせません。
カルシウムの摂取目標は一日700~800mgとなっていますが、日本人の一日の平均摂取量は500mg前後と不足している栄養素になります。
なるべくカルシウムの豊富な食事をとることが大切です。まずは現状よりも100mg多いカルシウムを摂ることからはじめましょう!
例)カルシウムが多く含まれている食品とそのカルシウム含有量
【乳製品】 牛乳(200mg)…220mg プロセスチーズ(25g)…157mg
ヨーグルト(100g)…120mg スライスチーズ(1枚)…126mg
スキムミルク(大さじ1)…66mg
【小魚類】 しらす干し(10g)…21mg ちりめんじゃこ(10g)…52mg
ししゃも(20g)…72mg サクラエビ(3g)…60mg
【青菜】 大根の根(ゆでて60g)…132mg 小松菜(ゆでて60g)…90mg
チンゲンサイ(ゆでて60g)…72mg
【その他】 ひじき(5g)…70mg 木綿豆腐(150g)…180mg
高野豆腐(20g)…128mg ごま(5g)…60mg
➁ カルシウムの吸収率を高めましょう!
カルシウムを摂るときに注意したいのが、その吸収率です。カルシウムというのは体内に吸収されにくい栄養素なのです。
食品によって異なりますが、カルシウムは牛乳で約40%、小魚で約30%、野菜で約20%しか体内に吸収されません。
そのため効率よく吸収できるように、吸収率を高める栄養素を一緒に摂るように心がけてください。
例)カルシウムの吸収率を高める栄養素
【ビタミンD】
腸からのカルシウム吸収を助け、体内のカルシウムの調整を行うビタミンです。
食品からも摂取できますが、適度に日光に当たることによっても皮膚内にビタミンDが作られます。
ですので、家の中に閉じこもりきりにならず、外気浴をすることも骨粗しょう症の予防になります。
☆ビタミンDを多く含む食品☆
魚介類(いわし、かつお、まぐろなど)、干しシイタケ、きくらげ など
【ビタミンK】
骨へのカルシウム沈着を助ける働きをします。
☆ビタミンKを多く含む食品☆
納豆、ブロッコリー、チーズ、レバー、がんもどき、干しひじき など
【マグネシウム】
カルシウムと同様に骨を作る働きをします。
また、カルシウムの吸収を助ける働きもあり、カルシウムとマグネシウムをバランスよく摂ることが重要です。
☆マグネシウムが多く含まれる食品☆
魚介類(まぐろ、かつお、かき など)、肉類、ほうれん草、バナナ、ごま、落花生 など
➂ 一日三回の規則正しくバランスの取れた食事をとりましょう!
カルシウム以外にも、骨の梁となるコラーゲンの元になるビタミンB6、ビタミンB12、葉酸などの摂取も心がけたいものです。
タンパク質や食物繊維は、摂りすぎるとカルシウムの摂取を妨げますが、適度であれば骨の強化や生活習慣病全般の予防に役立ちます。
< そ の 他 >
➀ た ば こ
喫煙をすると、
- 「骨へ血液供給が減る」
- 「骨を形成する細胞(骨芽細胞)が生産されにくくなる」
- 「カルシウムが吸収されにくくなる」
という悪影響があります。
つまり、たばこは骨の形成を阻害し、骨量低下の原因となります。
また、がんや肺の疾患、そして肌にも悪影響があることからも健康のために禁煙しましょう!
➁ お 酒
お酒も適量であれば問題ありませんが、飲み過ぎると骨を作る細胞(骨芽細胞)の働きを抑制してしまいます。
また、カルシウム吸収の場である消化管の働きを阻害し、下痢の促進や栄養吸収の阻害を引き起こします。
そして、お酒には利尿作用があるために、たくさん排尿を行ってしまうことから、体に必要な分までカルシウムを排出してしまいます。
骨の健康のためにもお酒は飲み過ぎないようにしましょう!
(一日の適量飲酒量目安は、日本酒なら1合、ビールなら中瓶1本500mlです。)
☆たばことお酒については過去の健康コラムでも取り上げていますので是非チェックしてみてください!
さいごに
骨粗しょう症予防は、多くの生活習慣病を予防することにも繋がります。
適度な運動と1日3食バランスの良い食事を意識して、元気な骨を維持していきましょう!
☆バランスのいい食事については過去の健康コラムにて詳しく載っていますので是非参考にしてみてください!
☆市のホームページでは食改いきいきレシピを掲載しています。アレンジ方法も載っていますので毎日の献立づくりにぜひご活用ください。